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リーダー自身の自己変革ー正しい自己認識がポイント

リーダー自身の自己変革ー正しい自己認識がポイント

厳しい経営環境のなか、仕事現場で精一杯の努力をされていると思います。難しい環境を変えようと誰もが必死です。

最近ではデジタル変革、所謂DXが取り上げられることが多くなっています。生産性の向上を目的としたものではありますが、仮にそれが、デジタルであろうと、今回取り上げる人の変革であろうと、変革を可能にする主体者は、どこまでも自分自身です。ツールや他の人ではありません。

現状認識―先ず自分を知る

今回お話しする変革とは〝自己自身の変革〟のことです。特にリーダー自身の変革について触れてみたいと思います。あらゆる変革は『正しい認識』から始まります。この現状認識が無い、あるいは弱い状態で、変革(例、組織、営業、DX、働き方、企業等々)を進めてしまうと結果に結びつかないことが多いものです。つまり、自分自身を知ることが何よりも大切なことです。

他人の眼に映る自分を知る

今回はリーダー自身の変革ということですが、自分のことは自分が一番よく知っていると、誰もが思っています。しかし、現実には自分自身を知ることは難しいもの。特に他人の眼に映る自分の姿を知らないことが多いと感じます。相手の心のスクリーンには、自分がどう映っているのかを、感じ取ることが出来ているでしょうか?スタッフ一人ひとりの心のなかにそれぞれの〝その人〟が存在します。尊敬する〇〇リーダー、親身にしてくれる〇〇社長、うるさい〇〇部長、わかってくれない〇〇係長と・・・。

相手を通して自分を知る

それが例え一人の人に対してでさえ、周囲の一人ひとりによって様々に違うように見えているものです。単に、スタッフから見た社長・リーダーの長所や短所ということではありません。スタッフ一人ひとりの心にある自分自身を知ることです。つまり、相手の中にいる自分を知る。自分を知るとは相手を知ること、相手を知り、自身を(かえり)みることにつながります。

 

誠意を持って一人ひとりと向き合う

次に、どうすれば相手を知り、自分を知ることが身につくのかについて考えていきたいと思います。

五感を使って意識を向ける

先ず、五感のすべてを相手のために使うこと。五感のすべて?とお感じになるかもしれませんが、先ずはその〝意識〟を持つことです。

相手が「どういう思いでいるのか」「悩んでいることはないか」「役に立てることはないか」と、相手のために目や耳、口(言葉)など五感のすべてを使い相手を凝視する、その訓練をすることです。これは理屈ではありません。現実の経営現場で実際に相手と向き合うことを、何度も何度も繰り返し、体験を通して自身を磨くよりほかありません。

誠意をもって向き合う

大事なことは、〝声にならない思い〟を感じるまで、誠意を持って一人ひとりと向き合うことです。「今頃はどうしているか、何か悩んでいることはないか」と、会っている時だけでなく、会っていない時にも一人ひとりに思いをめぐらす。立場が上になるほど、スタッフは本音を言ってはくれません。なんとか勇気を振り絞って言ってくれたとしても、言葉通りの思いではないことが多いものです。「大丈夫です」とは言っても、内面では(くじ)ける一歩手前かもしれません。「頑張ります」とは言うものの、頑張りきれない何かがあるかもしれません。

また、誠意を持って向き合う意識がなければ、網膜(もうまく)には映っても相手のことは見えません。たとえ何か気づくことがあったとしても、業務を優先し見過ごしてしまうものです。問題が起こった後になって「確かにあの時の様子が違っていたな」という経験は誰しもあると思います。誠意を持って向き合いつづける。そうすることで、今までとは違ったものが間違いなく見えてきます。些細(ささい)な変化が必ずそこにはあります。そして実は、そこに大事なことが多く隠されているのです。

しかしながら、大事だとは思ってはいても、現実の経営現場に身を置くと忘れてしまうものです。忘れるばかりでなく、やっているつもりになってしまう。だからこそ、意識して相手を凝視し、誠実に向き合うことが大切なのです。

相手の姿を通じて自分を知る。それが正しい自己認識であり、そうして初めて自己変革への具体的前進が可能になります。

すべての事象は全部つながっています。夫婦問題、親子問題といった家庭の問題など身近で些細な問題にこそ自己変革の糸口が隠されています。身近な人を借りて、自分自身を正しく知る。勇気を持って、共に自己変革の道を(ひら)いていきましょう。

次に、リーダー自身が自らの姿を自らチェックする術は有るのか?についても触れてみます。

リーダーのセルフチェック

経営者をはじめとするリーダーの日々は葛藤の連続です。葛藤から生じるストレスなどで精神、また肉体を酷使(こくし)してはいないでしょうか。そういう状況のなかで、無理をつづけると身体を壊すばかりでなく、冷静な判断を損なう恐れがあります。心身共に健康を保つ工夫は様々ありますが、本来の自身の力を発揮するためには、まずは、自分自身の状態を的確に把握することが重要です。

 

自分自身はなかなか見えない

さりとて、私たち人間は他人のチェックはできても、自分自身をチェックする「セルフチェック」は難しいものです。自分を客観的に評価できない・・・それが私たちの特徴なのでしょう。

たとえば、先にも述べた五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)で考えてみましょう。視覚では、他人の後ろ姿はチェックできても、自分の後ろ姿は見えません。自分の目の一番近くにある睫毛(まつげ)さえも、自分ひとりで見ることはできないのです。録音した自分の声、「こんな声だったのか?」と思うはずです。他人が聴いている自分の生の声を本人は聴くことができません。その他も同じです。他人に(さわ)られると、くすぐったい、あるいは不快を感じるのに、同じように自分で触ってもそうは感じません。また、他人の口臭や体臭は気になっても、自分の匂いは分からないものです。

このように、自分を的確に見ることは難しいものです。まして、目に見えない自身の内面の状態を知ることや、経営現場での判断のベースとなる理念や経営哲学からズレている自分に気づくことは極めて困難です。

だからこそ、経営者には自分や会社の状態を的確にチェックしてくれる指導者が必要です。経営が厳しいときこそ、経営者のことを気づかい、遠慮なくチェックしてくれる指導者が必要です。

 

コーチのような存在を

経営者の「セルフチェック」を代行する指導者は、スポーツ選手にとってのコーチに似ています。選手が好調なときも、コーチはより高い目標に向けてフォームをチェックし、不調にならない方法を提案したり、さらなる改善策を検討します。それでもスランプに陥ったときは、親身になって打開策を示すのが選手にとって最高のコーチです。アップル創業者・スティーブ・ジョブズ氏はじめGAFAと呼ばれるアメリカの巨大IT企業のトップにも優秀なあるコーチの存在があったことが一冊の本にもなり話題になりました。(ダイヤモンド社出版『1兆ドルコーチ シリコンバレーのレジェンド ビル・キャンベルの成功の教え』)

そのコーチは、良い時もまた答えの見つからない問題に悩まされているときも、静かに隣に居て示唆を与えてくれる存在だったと各CEO達は証言しています。

同じように、最高の指導者とは企業業績の好不調にかかわらず、常に思いを寄せ、チェックをつづける伴走者(=信頼できる水先案内人)なのです。「なぜ、企業が好調なときもチェックが必要なのか?」と言えば、実は好調時こそ経営者は自社の状態をチェックできず、経営バランスを崩しやすいからです。たとえば、収益を設備投資に使い過ぎたり、人材を採用し過ぎて経営バランスを崩すケースなどです。あるいは、経営者が自分を見失って散財してしまうといった不用意な行動も、後になって経営バランスを崩す要因になります。

好調時に「儲かっているから大丈夫だ」、「まだ、売上は伸びるはず」と過信したり、不調時に一発逆転を狙うようなリスクの高い投資をしてしまったり、あるいは、苦しい時にその場しのぎのことをしてしまったりと、誤った判断をしそうな時に指摘し、よき方向へと導いてくれる存在が経営者には必要なのではないでしょうか。

当社では、経営者様との対話を通じて本質的な経営課題を解決へ導く「経営カウンセリング」のサービスを提供しています。経営者の皆様が抱えている幅広い課題に対して、解決に向けたご支援が可能です。ぜひ家族経営における経営課題をお持ちの際には、お気軽に当社までお問い合わせください。



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