部下の育成ポイント

「部下」に関わる「上司」という自分の育成ポイント
多くの人がこのテーマに悩まされ、挑戦をされ、日々奮闘をされていることと思います。私もその一人・・。「企業は人なり」との言葉もあるように、ある意味では企業にとってこの「部下の育成ポイント」は永遠のテーマであろうかと思います。「部下の育成」・・について各企業により様々な研修プログラムや計画・やり方等あろうかと思いますが、ここではあえて「部下」という相手ではなく、「部下」に関わる「上司」という自分の育成ポイントをいくつか記してみたいと思います。
分かりやすく言うと「部下」を見る、「部下」を知る、「部下」に伝え育むこちらの見方・捉え方・考え方のポイントです。先ずもって、「部下」という人はいませんね。「部下の○○さん」という一人の人間を知ろうとする努力から始まります。そう、正に努力です。今後、共に働いていく仲間として、大事な信頼関係を作る努力です。その上で大事な事は相手を知ろうとの見方です。この見方のポイントとして、
①能力面 ②人格面 との両面での見方です。
能力面とは・・目に見える学力や知識、技術や営業力、企画力、管理力、スピードや精度等々の能力。
人格面とは・・好感を持たれる、魅力がある、優しい、誠実、ひたむき、リーダーシップ等々の個性を含めた人格。
この両面の向上が、人の成長へとつながります。ですが、多くは目に見える能力面を注視しがちであり、多くの評価も能力が中心であり、ここに多くの時間と費用を会社も使います。もちろん目に見えて能力は大事ですが、マイナスの人格面において高い能力をダメにしてしまう例や、能力で伸びて、人格面で部下を育てられない例も私たちは見ています。
逆に、人格面で能力を上回る成果を出した例や、人格面で高い能力の部下が育つ例も知っています。目に見える能力面は、時間と努力で向上されていきますが、人格面の向上は、関わる人間関係・なかんずく上司の影響力は大きく作用するものと思います。ここでのポイントは、①能力面②人格面の両面で部下を知る努力をし、一方で自分自身もこの両面があり、大きく部下に影響力があるということを知ることです。
相手中心の見方・考え方・捉え方を身に付ける
次のポイントとして、部下(相手)を中心に見る見方です。
「なぜこうするのだろう?」「何でできないのだろう?」「何回同じことを聞くのだろう?」等々と感じたり、思ったことがあるかと思います。自分(上司)中心の見方で見るとそう多く感じます。
自分中心で見ると・・否定から入ってしまいがちです。
相手中心で見ると・・認識から入ります。「ああ、あなたはそうするのですね。」「あなたはそうなのですね」と。
例として・・10人の部下に同じように伝え(教え)ても、10人が同じようにはできない場合があります。それも自分中心で見ると、「なぜできないのか?同じように伝えたのに・・」相手中心で見ると、「ああ、○○さんはここまでは理解したのだな」と認識でき、後は補足すればいいと捉えられる。これは、部下を見るときのみならず、上司・同僚・お客様・家族等、大事な見方であると思います。
そしてもう一つのポイントとして・・「人はどのような時にやる気を起こすのだろうか?」という部下のやる気(主体性・自主性)の捉え方です。昔サラリーマン川柳に「やる気だせ!やる気なくなるその言葉・・」とあり、なるほど・・と苦笑いしましたが。あらためて、部下はどのような時にやる気を起こすのでしょうか?この「やる気」のことばをちょっと変えて、「やりがい」や「よろこび」にするとどうでしょう。人はどのような時にやりがい・よろこびを感じるのでしょうか?実際に何人かの方に取材してみますと・・ほとんどが「認めてもらえたとき」「必要とされたとき」「お客様(相手)に喜ばれたとき・お役に立ったとき」と。共通していることは、会社における自身の存在意義や他者(地域社会)への貢献であるということです。
ぜひ、部下に「会社の存在意義や理想、地域・社会にもたらす価値、仕事の意味・意義」などを折に触れて、積極的に自分のことばで伝えて頂けたらと思います。「自分のことば」でです。上司である自分の「やりがい・よろこび」です。
以上、いくつかのポイントを記させて頂きました。
部下に対する・・というよりも上司である自分に対するポイントのほんの一部です。
総じて、『自分の成長=部下の成長』という考え方。「上司である自分の成長と共に、部下は成長する」「部下は上司の鏡」とも。部下という相手をかりて、上司という自分を見つめる。部下という相手を変えるのではなく、上司である自分を変える。変わらない部下でストレスを感じるのではなく、まだまだ変われる可能性がある自分に勇気を持つ。
冒頭に申し上げた通り、どこまでも部下との信頼関係をつくり続ける。この「つくり続ける」プロセスに部下の育成ポイントがあるように思えてなりません。
簡単にはまいりませんが、私も日々努力してまいります。