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事業承継とは?ー【保存版】円滑に事業承継を行うための流れやポイントを解説!

事業承継とは?ー【保存版】円滑に事業承継を行うための流れやポイントを解説!

今や国内企業の約3分の2(※)が、後継者不在の状況に陥っているといわれています。実際、「事業承継の対策を何から始めたらよいか分からない」と悩む経営者の方も多いかもしれません。そこで今回は、事業承継の手法や具体的な流れといった基本から、円滑に事業承継を行うための対策・ポイントまで分かりやすく解説します。(2022年9月5日更新)

事業承継とは、そもそもどのようなことを意味するのか?

事業承継とは、企業の経営を後継者に引き継ぐことを言います。中小企業における事業承継は、先代経営者から新経営者へ株式(経営権)を譲り渡す「株式譲渡」で行われるのが一般的です。ただ、承継すべきものは株式だけにとどまりません。事業用資金から目に見えない知的財産権まで、事業に関するさまざまなものを承継する必要があります。また、「誰に」承継するかについては、親族内・親族外・M&Aなどいくつかの選択肢のなかから最適な相手を選ばなければいけません。このように事業承継を進めるには、幅広い視点での対策が必要なのです。

事業承継で承継する“3つ”のものとは?

事業承継で引き継ぐべきものは、法律で定められているわけではありません。ただ、承継後の事業運営を円滑にするには「人」「資産」「知的資産」の継承が必須です。ここでは、承継すべき3つの要素について解説します。

(1)人(経営権)

まずは「人」、つまり経営者としての権利(経営権)を承継する必要があります。経営権を誰に委譲するかは、今後の事業運営に大きな影響を与える問題です。例えば、後継者が企業理念やビジョンに肯定的かどうか、社内で信頼されている人物かどうかなどで、経営のあり方も変わってしまうでしょう。また、後継者の育成には5~10年という長い年月がかかるといわれています。そのため、後継者の人選・育成には早期の動き出しが肝心です。

(2)資産

資産とは、事業を運営するうえで必要な資産のことです。例えば、設備や不動産などの「事業用資産」、運転資金や借入金などの「資金」、「自社株式」などが挙げられます。こうした資産を後継者に承継する際、やり方や資産の価値次第では、多額の相続税・贈与税がかかる可能性もあるでしょう。そのため、資産を一括で承継するのか・分散して承継するのかといった方法も含めて、専門家のサポートを受けながら進める必要があります。

(3)知的資産

知的資産とは、財務諸表上には表れない、見えない資産のことです。例えば、特許をはじめとする知的財産、従業員の技術力やノウハウ、顧客情報、顧客との人脈・ネットワーク、官公庁から得た許認可、企業理念やビジョンなどが挙げられます。こうした知的資産は、他社と差別化を図り、事業を有利に進めるうえで欠かせない要素です。そのため、事業承継の際には自社の競争優位性を分析し、その源泉となる知的資産も承継することが大切です。

事業承継の現状とは?

世の中の企業では、事業承継がどれくらい進んでいるのでしょうか。また、事業を誰に引き継ぐケースが多いのでしょうか。ここでは、こうした事業承継にまつわる現状を、データも参照しながら解説します。

(1)50代の「約7割」は後継者が見つかっていない

事業承継における課題のひとつは、後継者の人選と育成です。帝国データバンクの調査(※)によれば、全国の企業における後継者不在率は「65.1%」にも上り、約3分の2に当たる企業が後継者を見つけられていない現状がうかがえます。しかも、事業承継の検討に入ることが多い50代では後継者不在率が「69.4%」となっており、約7割が後継者のいない状況です。後継者が見つからなければ、廃業や倒産という可能性も出てきてしまいます。

(2)「同族承継」の割合が減少している

後継者の人選に関して、従来は「親の事業は子が受け継ぐ(親族内承継)」というのが一般的な考え方でした。ただ、今は不透明な社会状況から、事業を継ぐことに抵抗を覚える子ども世代も少なくありません。そのため、親族内承継の割合が年々減少傾向にあります。帝国データバンクの調査(※)によれば、2020年に同族承継によって事業を引き継いだ企業の割合は34.2%となり、2018年の42.7%から大きく減少しました。一方、役員や従業員へ承継する「内部昇格」は34.1%、社外の人材へ承継する「外部招聘(へい)」は8.3%となり、年々割合が増えています。経営者としては、親族内だけでなく幅広い選択肢のなかから後継者を選ぶ必要があるでしょう。

(3)「後継者難」での倒産が増えている

後継者難の影響で、やむなく倒産してしまう企業も珍しくありません。東京商工リサーチの調査(※)によれば、2020年における後継者難での倒産件数は354件となり、調査開始以来最高だった2019年の記録を塗り替える結果となっています。同調査によれば、後継者難で倒産した際の状況について、「代表者の死亡」「体調不良」が8割以上を占めました。危機的な状況に陥る前に、事業承継は最優先事項として取り組む必要があると言えるでしょう。

事業承継の種類とは?

事業承継には、具体的にどのような方法があるのでしょうか。ここでは、「親族内承継」「社内承継」「社外承継」という3つの種類について、それぞれのメリット・デメリットも踏まえて解説します。

(1)親族内承継

親族内承継とは、経営者の息子や娘に会社を継いでもらうパターンです。進め方としては、生前のうちに資産を譲り渡す「贈与」、遺言書の内容に沿って資産を配分する「相続」、株式や事業そのものを買い取ってもらう「譲渡」の3つがあります。それぞれ税金の負担も変わるため、後継者の資産状況に合わせて手法を選ぶことが重要です。

ちなみに親族内承継には、以下のようなメリットがあります。

◎「子どもに代替わりする」ことは決して珍しくないため、従業員や社外の関係者から理解を得られやすい
◎身近な相手に事業を引き継げるため、経営者自ら時間をかけて育成に取り組みやすい
◎株式譲渡以外に「贈与」や「相続」の方法も活用できるため、柔軟に事業承継を行いやすい

一方で、以下のようなデメリットもあります。

▲経営能力のない子どもに事業を引き継いでしまった場合、業績にマイナスの影響を与えることがある
▲後継者以外の親族から遺留分(法律上で保障された一定の相続権)を主張され、トラブルになる危険がある
▲個人保証(経営者本人が会社の保証人になること)の引き継ぎを、後継者から断られる可能性がある

遺留分については、相続の権利を持つ親族と事前に合意を図っておく必要があります。また、そもそも子どもから事業を継ぐことに抵抗を示される可能性もあるので、早期に後継者との意思疎通を図っておくことも重要です。

(2)社内承継(役員・従業員への承継)

社内承継とは、自社の役員や従業員に事業を承継する方法のことを言います。進め方としては、経営者の所有する株式を後継者に買い取ってもらう「株式譲渡」が一般的です。メリットとしては、以下の内容が挙げられます。

◎より幅広い人材のなかから適任者を選べるため、経営能力の高い人材を起用できる可能性が高まる
◎社内で長年活躍してくれた従業員を後継者に選ぶことで、企業理念やビジョンもスムーズに引き継げる
◎「社長になること」を目標に頑張っている従業員もいるため、承継によるモチベーション向上も期待できる

一方で、以下のようなデメリットがあるのも事実です。

▲株式を買い取るには多額の資金が必要なため、後継者が資金不足に陥ってしまう可能性もある
▲先代経営者と似たような経営手法を踏襲することによって、抜本的な改革が起きにくくなる
▲親族内承継と同様、個人保証や債務まで引き継ぐことになるため、後継者に断られる可能性もある

社内承継においては、株式の買い取り資金や個人保証など、後継者への負担も決して少なくありません。そのため、後継者の候補となる人材には早くから承継に関する説明をし、納得のうえで引き継いでもらうことが重要です。

(3)社外承継(M&A)

社外承継とは、M&Aを通じて社外の人物・企業に事業を承継する方法のことを言います。M&Aには事業譲渡や合併などさまざまな方法がありますが、中小企業では最も手続きのシンプルな株式譲渡で行われることが一般的です。現在は親族内承継や社内承継を行う企業の割合が高いですが、後継者不足からM&Aによる承継も年々注目を集めています。ちなみに社外承継(M&A)のメリットとしては、以下のような点が挙げられるでしょう。

◎より幅広い選択肢のなかから経営者を探せるため、優秀な経営者に引き継げる可能性が高まる
◎引継ぎ先企業とのシナジー効果(異なる事業同士の相乗効果)により、事業が飛躍的に成長することもある
◎新しい経営者に株式を買い取ってもらえるため、売却益を手元に残すことができる

ただ、メリットだけではなく以下のようなデメリットがあります。

▲経営者が変わることによって、企業風土やビジョンが大きく変更になる可能性もある
▲経営方針や企業風土が変わることで、従業員の反発を招き、大量退職につながる危険もある
▲そもそも企業としての価値が高くないと、承継先が見つからない可能性もある

M&Aによる事業承継では、承継先の選択肢が広がる一方で、組織風土が一変してしまうリスクも秘めています。また、承継先の企業から「買い取りたい」と思ってもらうには、企業としての価値やブランド力を上げることが必須です。そのため、財務の健全化や主力商品の開発など、企業価値を高める施策も進めておく必要があります。

事業承継の流れとは?

事業承継は、具体的にどのような流れで行うのでしょうか。ここでは、5つのステップに分けて解説します。

(1)【準備】事業承継の必要性について検討する

大前提として、事業承継は後継者選びや育成、各種手続きなどを含め長い年月を要します。ただ、普段の忙しさに追われ、事業承継まで頭が回らない場合も多いかもしれません。だからこそ、まずは事業承継の必要性を認識し、時期や人選について一度じっくり考える機会を持つことが重要です。ちなみに経営者の平均的な引退時期は、68~69歳と推察されています(※)。後継者の育成に5~10年かかることを踏まえ、早期に準備を始めましょう。

※参考:中小企業白書(2018年版)|中小企業庁

(2)【把握】経営状況・経営課題を把握する

後継者へスムーズに引き継ぐためには、まず自社の現状を正しく把握しておく必要があります。そのため、まずは経営状況や経営課題を分析し、可視化することが大切です。例えば、「自社株式の評価額」「月ごとの売り上げや在庫量」「保有不動産の有無や状況」「財務の健全性」「知的資産の数や種類」など、あらゆる角度から企業の価値を分析します。同時に、自社にとって何が「弱み」になっているのかを認識し、改善の手を打つことが重要です。

(3)【改善】経営改善で企業価値を高める

誰に事業を引き継ぐとしても、相手から「ぜひとも継がせてほしい」と思われるような会社であるべきです。そのため、経営改善によって企業価値を高める“磨き上げ”の作業にも取り組みましょう。例えば、「リスクに備えて事業を多角化しておく」「人材育成を行いパフォーマンス向上に努める」「負債の返済を行う」「不必要な資産は処分する」など、さまざまな方法があります。周囲の協力も仰ぎながら、力を入れて進めることが大切です。

(4)【計画】「事業承継計画」を策定する

事業承継計画とは、「誰に」「何を」「いつまでに」承継するかを一覧にまとめた計画書です。10年後の事業承継を見据えて、中期経営目標や後継者の人選・育成に関するスケジュールを年単位で細かく表にまとめましょう。事業承継計画は経営者ひとりで考えるのではなく、後継者や親族を巻き込みながら共同で策定し、内容を共有しておくとスムーズです。ちなみに計画書の作成例は中小企業庁(※)が紹介しているので、参照してみてください。

※参考:事業承継計画の作成|中小企業庁

(5)【実行】事業承継を実行する

事業承継計画に基づき、状況に応じて柔軟にスケジュールを調整しながら事業承継を実行します。この際、各種手続きや法律上の対応などについて広範囲の知識が必要になるため、弁護士や税理士などに協力を仰ぐことも重要です。そもそも後継者の人選や育成が難航している場合には、経営コンサルタントや商工会議所、中小企業庁の運営する「事業引継ぎ相談窓口」や「事業承継・引継ぎ支援センター」などに随時相談することも有効でしょう。

事業承継を阻む問題・リスクとは?

事業承継は、いざ始めようと思っても必ずしもスムーズに進むとは限りません。
ここでは、事業承継を阻む主な問題点やリスクについて解説します。

(1)後継者がいない

事業承継では、後継者を探したくても候補がいないというケースがあります。というのも、最近では少子高齢化の影響から、若い世代の人材がそもそも減ってきているのが現状です。また、リーマンショックや新型コロナウイルスの流行をはじめ、企業がダメージを負うような社会的状況がいつ起こるか分かりません。先の読めない社会情勢のなか、事業を受け継いであえてリスクを背負いたくないという後継者候補も少なくないでしょう。そのため、息子や娘から事業を継ぐことに難色を示されてしまい、後継者選びが難航してしまうこともあります。

≪一緒に読みたい記事≫後継者不足の解決策とは?経営者がとるべき「4つ」の行動を紹介!

(2)後継者が育たない

後継者を決めたとしても、思うように育ってくれず経営者が不安になってしまうケースもあるでしょう。例えば、事業承継に前向きな後継者でも、経営能力がなかなか身につかない場合があります。また、経営のセンスがあったとしても、性格的に周囲からの信頼を得にくい人材もいるかもしれません。実際、帝国データバンクのアンケート調査(※)によると、「事業承継を行う上で苦労したこと」に対する企業の回答で最も多かったのは「後継者の育成」(48.3%)でした。期待どおりに後継者が育たないと、いつまでも事業を譲り渡せなくなってしまいます。

≪一緒に読みたい記事≫後継者に求める資質とは?事業承継における後継者の選び方・育て方

(3)後継者と従業員が対立してしまう

後継者と古参の従業員が対立してしまう、というのもよく見られる問題です。というのも、古参社員は先代の経営者とともに成功体験を積んできているため、従来の経営手法や働き方に愛着を持っています。そのため、若い後継者が新しい手法を取り入れると、どうしても心理的な反発が起こってしまうのです。また、古参社員が先代の経営者と後継者候補を比べてしまい、事業承継そのものを受け入れてくれない可能性もあります。長い間会社を支えてくれた功労者をねぎらいつつも、新しいやり方をどう受け入れてもらうかは経営者の悩みの種かもしれません。

(4)資金の捻出が難しい

後継者への金銭的な負担も、事業承継の大きな課題です。例えば、親族内承継の場合は、引き継いだ資産に対して相続税・贈与税がかかってしまいます。また、役員や従業員に引き継いでもらう場合でも、株式を買い取るだけの十分な資金を用意してもらう必要があるでしょう。さらに、金融機関から借り入れをしている場合、個人保証(経営者が会社の保証人になること)を引き継がなければいけないケースも珍しくありません。こうした数々の負担から、後継者本人だけでなく後継者の家族からも反対されてしまい、事業承継が進まないこともあります。

(5)親族とトラブルが起きてしまう

親族内承継を行う場合、経営者が事前に遺言書を作成しておけば、後継者候補に資産を引き継ぐことが可能です。ただ、経営者の配偶者と直系卑属(子、孫など)、直系尊属(親、祖父母など)には、「遺留分」という相続権が生じます。後継者以外から遺留分を主張されると、後継者の資産が減る可能性もあるでしょう。これは、致命的な問題につながる恐れもあります。というのも、株主総会で普通決議を成立させるには全株式の2分の1、特別決議を成立させるには3分の2を保有することが必須条件だからです。遺留分によって後継者の株式が減ってしまえば、経営権が揺らぐ可能性もあります。そのため、親族間のトラブルは何としても避けなければいけません。

(6)相談できる相手がいない

事業承継の手続きや税制度は非常に複雑なため、専門家のサポートを受けた方が確実かつスムーズです。しかし、身近に相談できる相手がおらず、事業承継になかなか着手できない経営者もいます。特に地方においては周囲に親しい経営コンサルタントや弁護士がおらず、誰に声をかけてよいか分からないケースもあるでしょう。また、「相談しても意味がない」と思って経営者が独力で進めてしまうと、途中で挫折してしまう可能性もあります。

事業承継の対策・ポイントとは?

事業承継を成功させるためには、どのようなことを意識すればよいのでしょうか。
ここでは、事業承継で意識すべきポイントを5つ紹介します。

※事業承継の対策について詳しく知りたい方は、「事業承継対策は何から始めるべき?後継者・相続・税金の対策方法を解説!」[i2] も合わせてお読みください。

(1)できるだけ早期に動き出す

大前提ではありますが、事業承継はできるだけ早めに対策を始めることが大切です。東京商工リサーチの調査(※)によれば、休廃業・解散した企業の84.2%が、経営者の年齢が60歳以上でした。経営者の年齢が上がれば上がるほど、後継者不足の問題は重くのしかかり、休廃業の可能性が高まることが分かります。だからこそ、常に10年後を見据えて行動し、「後継者の候補を探す」「後継者の育成計画を立てる」といった動きを始めるべきです。後継者候補となる人材にも引き継ぎ予定を早めに伝えておくことで、本人の覚悟を醸成しやすくなるでしょう。

※参考:2020年「休廃業・解散企業」動向調査|東京商工リサーチ

(2)選択肢を幅広く用意しておく

特に家族経営では、どうしても親族内承継を選択しがちです。ただ、「継がせる不幸」という言葉もあるとおり、必ずしも親族に承継することが本人の生き方にプラスにならないケースもあります。また、ひとつの承継方法にこだわりすぎるあまり、結果的に廃業して従業員の雇用を守れなくなる可能性もあるでしょう。だからこそ、事業承継を行う際には、親族内承継・社内承継・M&Aという幅広い選択肢のなかから実行することが大切です。それぞれの手法における税金の負担額や引継ぎまでの期間も見積もっておくことで、より最適な選択ができるでしょう。

※家族経営について詳しく知りたい方は、「家族経営を成功させる“5つ”のポイントとは?事業承継の対策も紹介!」[i3] も合わせてお読みください。

(3)経営状態を「見える化」しておく

自社の資産状況や経営課題を把握していないと、スムーズに事業を引き継げなくなります。そのため、普段から意識して経営状態を可視化しておくことが大切です。例えば、財務諸表や貸借対照表、部門別の損益、企業と経営者の間の賃借関係、株価評価、自社の強みや弱みなどさまざまな要素を明らかにしておきます。また、決算書を公正に作成したり、コンプライアンスの徹底を図ったりと「経営の健全化」も欠かせません。目に見える資産・知的資産を含めて常に譲り渡せる状態にしておくことで、後継者にもスタートを切ってもらいやすいでしょう。

(4)事業承継税制や金融支援を活用する

事業承継では、相続税や株式の買い取りなど、後継者に相当の資金が必要です。そのため、負担が軽くなるような公的制度を活用することも検討すべきでしょう。例えば、条件を満たせば事業承継時の相続税・贈与税が猶予される「事業承継税制」があります。制度の改正以前は猶予の対象は「発行済株式の3分の2まで」・猶予割合は「80%」でしたが、平成30年の改正で猶予対象が「全株式」・猶予割合が「100%」になりました(※)。また、中小企業庁の「事業承継・引継ぎ補助金」や経済産業省の「事業再構築補助金」など、各種補助金も申請が可能です。こうした税制・補助金を活用できれば、金銭面の負担を軽くしてより円滑に事業承継を進められるようになります。

※参考:法人版事業承継税制|国税庁

(5)専門家に早めに相談する

事業承継には広範な知識とノウハウが求められるため、早期に専門家へ相談しておくことも重要です。相談先としては、相続税や生前贈与については「税理士」、法律にのっとった書類の作成方法については「弁護士」、財務書類の監査証明や経営の見える化については「公認会計士」に依頼するのがよいでしょう。また、金融機関や商工会議所、経営コンサルタント、公的機関である「事業承継・引継ぎ支援センター」や「よろず支援拠点」でも、幅広く経営の相談に乗ってもらえます。専門家のアドバイスを受けることで、より安心して事業承継を行えるでしょう。

事業承継の成功には、専門家のノウハウが不可欠

事業承継を円滑に行うには、各種法律や税制度、事業承継計画の策定方法などについて広範な知識とノウハウが必要です。また後継者の選定や育成には、時間もかかります。そのため、経営者ひとりですべてに対応するのは至難の業と言えるでしょう。だからこそ、まずは専門家に相談し、パートナーとして伴走してもらうことが大切です。

ちなみに当社では、対話を通じて経営者様の本質的な課題を解決する「経営カウンセリング」のサービスを提供しています。後継者の選び方や育て方、各種専門家の紹介をはじめさまざまな相談に乗り、事業承継をトータルに支援することが可能です。事業承継について課題をお持ちの際には、お気軽に当社までお問い合わせください。


※事業承継問題について詳しく知りたい方は、「事業承継問題に悩む経営者の方へ|解決に向けた“5つ”の方法を紹介!」も合わせてお読みください。


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