社員教育・意識改革のヒント~思うようにならない人材への対応力を高めるためには?

思うようにならない人材を「なんとかしたい」と試行錯誤されている方は多いと思います。けれども、何回言っても聞かない、変わらない、そればかりか反発される等々、なかなか思うようにならないことが多いものです。結局は、「何を言っても無駄だ」と諦めたり、「本人が気づくしかない」と関わることを避けるようにもなるのではないでしょうか。
今回は、育成する側としてのお悩みに比較的多いこの「思うようにならない人材への対応」についてお伝えしたいと思います。
どういう思いをベースにするのか
心中を察するに、相当な苦悩や葛藤があるのではないかと思います。思うに、そもそも・・人は思い通りにはならないものなのではないでしょうか。自分自身すら思うようにできないことが多いのではないかと思います。つまり、「思い通りにならない」、その認識が先ず大切なことだと思います。
その上で、結論的には、人間尊重・相手尊重の思いに立つことが大切です。確かに、「なんとかしたい」と思うその多くは、決して自分のためではないでしょう。相手のため、お客様のため、あるいは、みんなのためだと思います。ところが実際には、相手にわかって欲しいという『自分の思い』が強くなってはいない でしょうか。つまり、相手のことを思っていても、自分優先になってはいないでしょうか。「なんとかしたい」という思いをベースにするのか、相手を尊重しようという思いをベースにするのかによって、すべてが違ってきます。
たとえば、「何回言っても聞かない」と相手を問題にするのでなく、「何回か言った程度ではまだ足りないのだな、もう少し工夫をしよう」と自分の問題として捉える。また、「こうして欲しいけど、どう思う?」「この日までだと助かるけど、どうだ?」と、相手の思いを尊重したうえで、こちらの意向を伝えるというような違いになるのではないでしょうか。
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思いと伝え方
あるクライアントリーダーからの質問で「相手の思いを尊重し、自分の思いをしまい込めばよいのでしょうか」と相談されたことがありました。そういうことではありません。リーダーとして言うべきことは言うし、指示も注意も アドバイスも、やるべきことはやります。また、ある別のリーダーは、「相手によっては言いづらいです」と。言って変わるかどうか は相手の問題ですが、言うかどうかはこちらの問題です。さらには、「言うべきことを言えば、さらに頑なに拒否されそうです」とも。こちらの思いが上手く伝わるかどうかは、自分自身の課題です。つまり、思いと伝え方の両方が大切です。相手を変えたいという『自分』が強ければ、話し方や話す場面を変えるなどの工夫をしたところで、相手には入りません。かといって、思いは正しくとも 的外れなやり方では、これまた上手くはいきません。
相手の思いを叶える
思うようにならない人とどう向き合うとよいのか。考え方(法則)としては、相手の思いを叶えた分だけ、相手はこちらの思いを叶えてくれる。これは本質です。 思いを叶えるとは、今ある具体的な要望に応えるばかりではありません。実際には、思いを受け止めること自体が相手の思いを叶えることに繋がるとも言えます。
言ってもやらない、何か言えば反発する等々の問題は、よくよく話を聞けば、指示に不満がある、よかれと思い指示と違うことをしている、能力や経験が不足している、あるいは、素直に聞けない要因が他にもある等々、様々な事情があるのではないでしょうか。つまり、相手の思いを受け止めようともせずに、人を動かそうとしても、なかなか難しいのではないでしょうか。
私の経験談ですが、あるスタッフのことで顧客からクレームが入り、注意した時のことです。そのスタッフは、「ハイ」と返事をしますが、なかなか改善しません。それで再度話すと、「自分としてはこういう思いでやっていました、私は悪くない」と言い張るわけです。なので今度は、その思いを聞くようにしました。結局、思いをすべて吐き出してはじめて、こちらからの話に納得したわけです。
要は、思いを吐き出した分しか、こちらの思いは入らない。相手には相手なりの言い分があるわけですから。指示に反対するつもりはなくとも、「そうは言っても・・・」「でも、現場は・・・」「私 としては・・・」というような思いがあれば、その分だけ自然と行動は鈍くなるものな のではないでしょうか。
最後に、アンリミテッドの本質論の実践とは、一回で何か劇的に変わるというようなことはありません。 何度も何度も、相手と向き合いつづけるなかに、徐々に或いは自然な形で変化というものが起こってきます。 ある意味、変化するまでやりつづけることが物事に取り組む姿勢とも言えます。だからこそ、そのプロセスの途中で諦めないことが大切だと思うのです。
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