人材育成はなぜうまくいかないのか?~人材育成を成功させるための3つのポイント

「人材育成がうまくいかない・・」とのご相談を様々な企業のリーダーや人事担当の方を通じていただきます。「その理由は・・?」と聞きますと「研修会社に原因がある・・どの研修も違いが無い・・業種や職種によって違うのかも・・企業規模・・地域性や社員の年齢の違い・・経験の違い・・」等と。「同じ業種や企業規模、地域でも人材が育っている企業もあるのではないでしょうか・・?」とお聞きすると「結局社員一人一人の問題でしょう・・研修会に参加させても聞いていない、やる気がない、意欲がない・・」とのこと。
実は、この短い対話のやり取りの中に、「人材育成がうまくいく」ポイントが隠されているのです。今回はそのポイントをいくつか申し上げてみたいと思います。
人材育成のポイント①「何のために学ぶのか? 何を学ぶのか?」
先ずもって「人材育成」・・と、一言で言っても様々な研修がたくさんあります。業種によっても違ってくるし、研修を受ける対象者や内容によっても変わってきます。それに応じて、研修会社を選ばれていることと思います。そこで・・あらためて今一度、「何のために 何を学ぶのか?」を考えて頂きたいのです。
多くの企業は、「資格を取るために」「様々な技術やスキルを身につけるため」「知識を得るため」「利潤を上げるため」・・等と、多くが「能力の向上のため」となっております。もちろん仕事面において能力面の向上は大事です。ですが、本当にそれだけで良いのでしょうか?
私共では、人の評価を大きく分けると2つあると考えます。1つは、能力面 2つは、人格面です。この人格面とは・・人として好感を持たれる、信頼を得られる、魅力がある、誠実である、あの人に会うと元気が出る・・等の、人としての人格・表現力・洞察力・指導力等の資質(非認知能力)です。この人格と能力の両面にわたる向上がなされることが、成長した姿として周りから評価されていくのだと考えます。
しかし、上記したように多くの企業は、質・量共に能力面の向上に力を注ぎ、優先をします。間違ってはいないのですが・・実は、この人格面の向上が、能力面の向上、或いは結果に大きく影響をするのも近年分かってきた事実でもあるのです。人格面をむしろ優先したほうが、能力面の向上も早いというのがこれまでの私たちの実感です。
整理しますと、「何のために 何を研修するのか?」
それは、どこまでも社員という一人ひとりの人間の成長(幸福)のためであり、人格面の向上がなされた分、大きく能力面の成長にもつながっていく。のみならず、いろいろな成長に影響をするものと確信します。よって・・先ず研修(会社)を選ぶこちら側が「何のために 何を研修するのか?」との考え方が大事になってくるのではないでしょうか。
私共も、『経営の人間学』のテキストを軸に、30数年の中で出会った、たくさんの企業の成長を目の当たりに見てまいりました。そこには、必ず、成長をされ、能力をあわせ持った素晴らしい人格者が、たくさんいらしたことを記しておきます。
人材育成のポイント②「人材育成」=「人を育てる」という考え方から、「人は育つ!」との考え方へ!
冒頭に話した会話の最後に、「結局社員一人ひとりの問題・・」とありました。全くその通りで、技術にせよ学問・スポーツにしても、周りのサポート(教える人・育む人)はあるにせよ、結果、育つ・伸びるのはその本人しだいです。しかし、この周りのサポートがあったからこそ、育つ・伸びることができた・・という人が圧倒的に多いのも事実です。この「人は育つ!」との考え方とは、「人間の持つ偉大な可能性は無限である」との考え方からです。自分も相手も。自他共々です。先ずは、この『可能性』を信じることがとても大事な考え方なのです。可能性は決して『0ゼロ』ではないのです。
余談ではありますが、弊社社名の「アンリミテッド」もここから由来しております。
アン=UN・・否定語 リミテッド=LIMITED・・限界
「限界を定めない」・・一人の人間の持つ可能性に限界を定めない との意味です。特に、自分自身に対して可能性の限界を定めない考え方であり、自分以外の相手にはその偉大な可能性を信じる考え方です。
例えていえば、私は残念ながら日本語しか話せません(その日本語すらあやしいですが・・)。では、日本語以外の語学は今後も絶対に話せないのか?可能性はゼロなのか?きっとゼロではなく、時間と努力次第で少しは話せるようになる可能性はある。しかしその可能性を自分が閉じているだけなのです。60代、70代から習い事やスポーツを始めて、周囲が驚くほど上達している人もたくさんいます。上達はせずとも可能性を信じ、挑戦している人は活き活きと輝いております。一方で、10代~20代ですでに将来をあきらめ、自分に自信が持てず、劣等感に悩む人も実際におられます。ぜひ、偉大な可能性があることに気づいてほしいし、気づきを与えたい!自分もそして周りの人も、可能性を信じてほしいと思います。
また、周囲を見て「あの人が!」と驚くほどの成長をされた人もいるかと思います。地位や役職等に限らず、引っ込み思案が積極的に!対話が苦手だったあの人が笑顔で話しかけてきた! そう・・いくつになっても「人は育つ!」のです。自分があきらめない限り。可能性を信じる限り。そして周りの人たちが見捨てない限り。大事なポイントは、その「無限(いろいろな)の可能性を持っている」・「可能性(自他共の)を信じる」との考え方を知ることと、その周りのサポート(教え・育む)のあり方であろうと思います。
ともすれば、企業においていろいろな研修会にも参加させ、教えてもきた。しかし思うような人材に成長していない・・と、あきらめたり、見切ったり、可能性が無いものと見誤ってしまうのが危険なのです。そうならない為にも、先ずこの考え方を加えていただき、一人ひとりがどういう可能性を持っているのか?しっかりと見つめ、知る努力を周りの方々が作っていく・そういう環境を整えていくことが、次のPOINT3.となります。
人材育成のポイント③「人が育つ環境づくりを」
「働き方改革」が叫ばれて久しいですが・・一体何を、どう改革すればよいのでしょうか?
働き方改革の中身には、労働基準法に基づく改革や、設備・機械、福利厚生にIT活用にDX・・と様々にあろうかと思いますが、ここで申し上げたい「環境づくり」とは、前述してきたPOINTから申し上げれば・・「人間尊重の考え方をベースにし、共有し、ヒューマニズムにあふれた環境づくりを目指し続ける」ことになるかと思います。たとえ話になりますが・・雨は平等に森に降り注ぎます。しかし、森にいる木々たちは同じようには育たない・・。一本一本、違うからです。同じ種類であっても成長は違うのです。人を木々に例えるのはおかしいですが、学ぶところはあるのです。
木々の成長に必要な環境・・・土壌や水、光、肥料、空気、等々。
では、企業にとっての土壌とは何でしょう。水は?光は?空気とは・・?
様々な働き方改革を行う中に、「人材育成」とのテーマもあることでしょう。しかし思うようにいかない・・その中身には、「平等に研修を受けてもらっているのに、結果が様々・・」とのこちら側の見方にも注意が必要なのではないでしょうか。現場にて、もう一歩踏み込んで一人ひとりを凝視してみて下さい。聞いてみて下さい。関わってみて下さい。そのようにして、「人」が作る環境を目指し続けていただきたい。
人間も皆、一人ひとり違うのです。性格も違えば、価値観も違う。育ってきた環境も違う。違って当然なのです。なので、同じ研修を同じ時間受けたとしても、それぞれに受け止め方も理解も、取り組むスピード等もそれぞれ違うのです。私共では、ワンウェイ・一方通行の講義にならないよう意識し、少人数での対話方式を主に行っております。一人ひとりの状況を認識し、企業のリーダー・責任者様に連携します。そしてそれを通じて、人間尊重の考え方をベースにした、一人ひとりが作る職場の環境づくりをアドバイスさせて頂いております。
「ダイヤを磨くのはダイヤ。人は人で磨かれる」・・とも。
永遠のテーマでもある自己成長と人材育成。うまくいくポイントの一部をお伝えしました。共々に学び合う仲間が増えることを楽しみに!応援します!
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