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幹部育成の課題と人材育成の考え方~成果が出ていない人材への対応

幹部育成の課題と人材育成の考え方~成果が出ていない人材への対応

経営幹部の育成についてお伝えさせていただきます。幹部の皆さんは、それまでの努力や成果、周囲からの信頼などによって、その立場に就いている方々だと思います。しかしながら、弊社サービス・経営カウンセリングを行った際に、

「幹部に任せているが、なかなか成果が出ないのですが・・」

とのテーマをクライアント経営者の皆さんよりご相談をいただくことが有ります。

この『幹部』にあたる方が、ときに『中間管理職』に変わったり、直属の部下や後輩、新人・・・と変わることもあります。仕事において経験が浅く、実務において未熟な場合の新人や部下・後輩であれば、まだ考える余地はあるが、これが経験もあり、ましてや『幹部』との職責にある中心的人材であれば、経営トップが悩むのも無理はありません。では、この悩み・問題をどのように解決すればよいのでしょうか?対応策として、任せた幹部を入れ替える? 幹部に任命した経営執行部に責任を問う?幹部を育成する?等々様々に考えられます。解決を急ぐ場合や、人材が豊富にいる、或いは採用に大きな予算を使える企業であれば、入れ替えやスカウト等も考えられるのでしょうが、現実的には、目の前に居る幹部に「成果を出してほしい・・成長してほしい・・変わってほしい」との思い、本音が多く聞かれるのがリアルな経営現場の声です。

ここに、「幹部育成」との課題が明確になってくるわけです。

1 幹部という名の〝人間の今〟を知る

「幹部育成」というテーマにおいて、先ず大事な考え方として、「幹部」という名の〇〇さんをよく知ることを、経営者カウンセリングなどではお伝えします。もちろん、幹部に任命をする以上は、よく知ったうえでのことと、承知しております。また日ごろから、仕事の能力や技術面、勤務態度や協調性、人格や周りの評価等をよく知った上で、幹部に任命されたことと思います。ですが、幹部という名の〇〇さんは一人の『人間』であります。人間である以上、私たちと同様、良い時もあれば、悪い時もあります。絶好調の時もあれば、スランプの時もあります。この「よく知る」とは、幹部の〇〇さんの「今の本人の状況・内面」を知ることなのです。その為に、思うような結果が出せていない人材に対して、具体的には、アンリミテッド流の個人面談・ヒヤリング、ONEオンONEを提案しております。

その中でお伝えしていることの一つとして、気を付けてほしい最大のPOINTは、今の本人の状況・内面を「聞く」「知る」ことに重きをおいてほしいということです。とかく、仕事において一向に成果が出ていない状況であれば、「聞く」「知る」ことよりも、「今、どういうやり方をしているのか?」「こうした方がいいのでは?」との指摘・改善を多く話してしまいがちです。そうではなくて、真摯に誠実に向き合い、「現状についてどう思っているのか?」「何に悩み、何に苦しみ、何を思っているのか?」との、その幹部の今の内面・状態等々を「聞く」「知る」ことです。

2 幹部本人の内面が「マイナス」なのか「プラス」なのかが現場実態にも反映される

仮に本人の内面が「プラス」で、「やる気はある」「頑張っている」でも成果が出ない、という状況であれば、指摘・改善・提案・工夫・確認・等々、様々大いに話すべきです。しかし、一向に成果が出ていない場合の多くは、内面が「マイナス」である方がほとんどなのです。では、なぜマイナスなのか・・。マイナスの中身は何であるのか。「会社に対する様々な不平・不満」「未来に対する不安」「自分自身に対する劣等感や不平不満」「周りの方々に対する不平不満」「家庭・プライベートにおける悩み」・・・等々。人の数だけ様々です。そして、そのことを知った!繰り返しになりますが、ここが大変重要になります。知ることが出来た・本人の思いを分かった上で、私たち経営トップが幹部の〇〇さんと、どう関わっていくのか。上記したごとく、人の数だけ内面のマイナス(状況や中身)は様々です。具体的対応も時々に応じて違うものが求められますが、先ずもって知ることが出来たこと、分かったことに、実は大きな意義があります。なぜなら、そこに会社としての課題も同時に含まれている!ケースが多いからなのです。むしろ積極的にそう捉えるべきなのです。

ある製造業を営む会社のトップから次のような実例をお聞きしたことが有りました。同じ製品を作る二つのグループがあり、二人のリーダーを新たに選任されたそうです。Aグループのリーダーはグイグイと周囲を引っ張っていくタイプ。製品管理や製造現場での経験もあり、数字面でも非常に長けた方でもありました。もう一つのBグループのリーダーは、それほど前に出るタイプではなく、リーダーとしては少し物足りなさを感じる印象でしたが、周囲の人からはたいへん好かれている好青年だったそうです。実際にスタートすると、Aグループが圧倒的に生産性も高く、活気が生まれていました。一方のBグループは淡々と、一見、日々の業務を静かに行っている印象だったそうです。時間経過の中で、だいぶ差が開くかと思いきや、2年目に入ったころに両グループの成果が逆転しだしました。Aグループでは、ミスが見られるようになったり、体調がすぐれないと休みがちになるスタッフも出ていました。一方、Bグループは、変わらず淡々と業務を行っていましたが、一つ違う点は一人ひとりの動きのスピードが速くなっていると感じたそうです。製造作業の細かい部分までは正直分からないのですが、Bグループのリーダーに聞いたところ、この一年間、スタッフ一人ひとりの作業面で思うようにいかないことや、個人的な意見を休憩時間なども使って丹念に聞いてきたそうです。結果、そのリーダーに周囲の信頼が集まりチーム力が高まって、成果が出始めました。こういったことはどこにでもあるほんの一例ではあります。しかし、リーダーによって成果は確かに大きく変わってしまいます。業務の進め方も大事ですが、それ以外のところが成果に大きく関係してくると私たちも考えます。先の社長は、人間的要素の大事さを痛感され、当社に幹部育成と共に経営カウンセリングをご依頼いただきました。

 「幹部に任せているが、一向に成果が出ない・・」その一向に成果を出せずにいる幹部をどうするのか? 替えるのか? 代えるのか? 変えるのか・・・?それは私たち経営トップの問題でもあります。

参考コンテンツ:人材育成|人材教育|幹部研修

3 幹部育成のポイントは〝こちら〟が変わること

弊社のお伝えしている考え方に、「過去と他人は変えられない」「未来と自分は変えられる」・・とあります。過ぎてしまった過去という事実は変えられません。同じく、他人も変えられないですよ・・と。しかし、気づかぬうちに「成果を上げてほしい!」「こういう人に変わってほしい!」との思いから、幹部の〇〇さんを変えよう!・・と、思ってしまうものです。幹部を思いのままに変えようとすることは、無理がありますし、そもそもおかしなことなのです。

そうではなく、幹部の〇〇さんを変えるのではなく、幹部に関わるこちらが変わろう!と。「成長してもらいたい!」との思いで、「関わるこちら側が変わっていこう!関わり方を変えていこう!」そのために、今の幹部の状況・内面を知ろう。結果につながる環境を作っていこう。何でも言える状況を整えよう・・・と。そして、幹部(相手)を変えるのではなく、育成する。導き、育み、守り、成長を促そうと。「成長・・とは、『長所が成る』との意味があります。長所を見つけ伸ばしてあげる。そういう環境を作っていく。長所を見つけられるこちらでいる」ことがリーダーには大事だと、私も教えていただきました。

この、「個人面談」という対応は一緒だとしても、質において変えることは行動の変化と同じ作用をもたらします。「幹部の今の内面をよく知ろう」との思いの変化、知ったうえで、「どう関わり方を変えていこうか」との今後の関わり方の変化、その実践結果と更なる変化。このプロセスの中で、結果的に幹部と関わる経営執行部メンバーの成長があり、幹部の成長が見え、幹部の部下やスタッフの成長へとつながる。良い方向へと向かおうとするこちらの変化の連続(挑戦)の中で、結果的に、「一向に成果が出ない・・」との、過去の事実は変えられませんが、「あれがあったおかげで・・」と、過去の事実の意味合いを変えることはできるのです。そして、幹部に関わるこちら(経営トップ)が変わった分、結果的に成果を出せていなかった幹部が『成長』という変化をする。そういった事実・事例を数多く体験させていただきました。

「幹部育成」・・決して簡単なことではありませんし、時間を要するかもしれません。ですが、そもそも力があり、認められて幹部と任命された方々です。可能性を信じ、ぜひ信頼関係を作り続けて頂きたいと思います。

参考コンテンツ:部下の育成ポイント

4 幹部育成の場面を共有することの重要性~幹部研修会での大事なこと

 幹部育成とのテーマにおいて、上記したごとく、経営者は、特に幹部との信頼関係を更に作り続けていただきたい・・また深め続けていただきたい・・と思います。この「続ける」・・ところに大事なポイントがあります。すでに「信頼関係はある」「信頼関係は深い」・・と、思われているかと思います。付き合いが長ければ尚のことです。しかし、それはこちらの思いであって、相手がどう思っているかは分からない・・ということです。相手に疑いを持ったり、不信を抱けということでは決してありません。そうではなくて、信頼しているからこそ、更に作り続ける努力をしよう、更に深める努力をしようということです。私自身の経験にもありますが、信頼している幹部に対し、自分の配慮のない言葉や動作によって、誤解を与えてしまったり、信頼を失くしてしまったり・・。自分では気づかないが、相手にとってはとても傷つくことであったりと。だからこそ、常に信頼関係を作り続けようと心がけることが大切ではないかと思うのです。私共で経営カウンセリングを行う際に『幹部勉強会』を実施することがあります。その幹部勉強会にトップもしくは経営執行部にも同席して頂き、共に研鑽をする場としてその環境を作っております。幹部の方々がメインとなって、私どもが提唱している『経営の人間学』に触れ、考え方・見方・捉え方を学びます。時には現場で実際に起きたことを取り上げながら、課題や問題、テーマに対し、共に意見し合う場でもあります。参加するトップの皆さんからの感想として・・「通常の社内での会議・ミーティングでは出てこない意見や相談が出る」「言いやすいような環境・雰囲気を感じる」「つい途中で答えを出してしまったり、遮ることが無い。意見を最後まで聞くことに意識をおいている」「ああいう悩みがあったとは知らなかった」「そう思っていたんだ」との意見を頂きます。人間を大事にする考え方と実践(哲学)を学び、更に相手を知る機会としてご活用いただいております。

ともあれ・・トップリーダーをはじめ、経営執行部、幹部、中間管理職、スタッフ・・皆等しく人間であります。企業において、この一人ひとりの人間の更なる成長が、間違いなく企業の成長に連動しております。更には、異なる一人ひとりの集まりが企業です。互いが互いを励まし合い、補い合い、ヒューマニズムに溢れた企業を目指し続けてまいりたい!そう思っております。

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