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リーダーとしての能力を高めるには/リーダーのマネジメント能力向上

リーダーとしての能力を高めるには/リーダーのマネジメント能力向上

リーダーとして必要な能力とはいったいどのようなことなのでしょうか?「スタッフから信頼される」「数字を上げること」「次々に人材を育てること」と様々にあると思いますが、今回は「指導力」「自己管理力」「判断力」の3点について本質的角度からお伝えしていきたいと思います。(2022年10月20日更新)

リーダーの能力1ー指導力を身につけるには

先日ある上場企業の社長から「うちの管理職は部下にものを言えない。嫌われるのが嫌なのか何の指導もしないんです・・・」とのお悩みをお聞きしました。パワハラ、モラハラなどの対策が常識となっている昨今にあって、言葉一つにも注意が必要なことは当然です。一方で遠慮やマネジメント力の不足が『事勿れ主義』や『逃げの姿勢』につながっているとの指摘もあります。

スタッフを励ます、癒す、激励することはリーダーの責務でもあり大切なことです。しかしながら、経営現場では、相手の成長を思えばこそ、厳しいことを言わなくてはいけないことがあります。それは時として、相手にとっては強烈なショックや痛みを伴うこともあります。

言うべきことを言えない・言っても伝わらないのは?

弊社アンリミテッドの創立者は、優しいといえば、これほど優しい人はいないと思わせる人でしたが、相手を正す時には、本気で叱り、震え上がらせるほどでした。ところが、叱られた当の本人は、一見すると罵倒(ばとう)のような叱責を最大の激励として受け止め、その期待に応えることを涙ながらに誓ってもいたのです。それは、言うなれば、リーダーの人格に触れ、熱意に目を覚まし、真剣さに心打たれたからに他なりません。そのようにして、時には経営現場で、時には研修会の場面で、それぞれの問題や課題を人生観や仕事観といった根本に照らして正されていました。しかし、なかなかこのようにはいかないものです。相手のことを思って言っているのに、逆恨みをされたり、思いとは逆のリアクションをされたりしてしまう。あるいは、関係性が悪くなることを危惧(きぐ)し本気で叱ることができないなど。

「相手を幸せにしてみせるとの強烈なる思い」という〝思い〟のことを人材育成の場面でお話しすることが有ります。そして、日頃から、ほかの誰よりもそのスタッフのことを思い、誰よりも内在する可能性を信じ、誰よりも慈愛を持って接し、スタッフの家族やご両親の思いまでも察する大事さについて確認します。

「企業は人なり」と社員育成を大事にされていた松下幸之助氏を取り上げたテレビ番組にて、当時の部下が言うには、「時に烈火のごとく叱り飛ばされることがあったが、そのなかにも愛情を感じていた」と。松下氏にも、優れたリーダーの方々にも共通するのは、叱られた本人は叱られるなかに「愛情」を感じていたということです。要は、相手のことを本気で純粋に思うということ。とはいえ、相手のために相手を思う思いと、自分のために相手を思う思いとが、同居しせめぎ合っているのが現実です。相手のためにと思いつつも、瞬間的に、関係性を危惧したり、会社のことや自身の立場が頭をよぎったりとしてしまう。だから、言うべきことを言えなかったり、言ったとしても思いが伝わらなかったりするのではないでしょうか。

基本は自然体で接するー心理的安全性

相手の問題や誤りを正す。あるいは、相手に気づきを促す。それは、人間性の問題の本質に迫れば迫るほど難しいものです。時には渾身(こんしん)の叱咤激励をしたり、あえて何も言わないことがあったり。いずれにせよ基本は自然体が何よりです。ありのままといったらいいでしょうか。事の大小にもよりますが、おかしいと思えば、「おかしいんじゃないか」と言い、変だと思えば、「何故そうするのか」と自然体で聞くことです。昨今よく聞く「心理的安全性」にも通じます。心理的安全性とは肩書やポジションに関係なく、誰でも率直に思っていることや意見、素朴な疑問などを言える環境のことを言いますが、この「ありのまま」との姿に通じる面が有ると思います。

当然、はじめのうちは、思うような手ごたえを感じない時もあります。言おうと思っても躊躇(ちゅうちょ)することもあります。できるようになるには、何度も場数を踏むことです。また同時に、日頃の、相手のために相手を思う思いを高める訓練や、言ったことを相手が聞けるようなこちら側になる訓練は不可欠です。

その上で大事なことは、結果において相手がよくなるのかどうかです。極端な話、どんなに痛烈な指導であっても、結果、相手がよくなるならば、それは、よい指導です。逆に、優しく諭すような指導であっても、相手がよくならなかったならば、それは、相手のためにならない指導とも言えるのです。

相手を指導するには何がポイントなのか?と質問を受けることが有ります。それには、いつもこのようにお伝えしております。「自身が指導(確認)を受けつづけることです」と。言うべきことを言う。すると思うようにいかなかったり、問題が様々に違った角度でも起こる。そこで指導(確認)を受ける。その繰り返しが自身の力量を高めることに繋がります。

人は縁によって触発され感化されるものです。善き人と交わりつづけることこそが、何よりも、自身の内面を整え、人間力を高めることになるのです。そうした環境に身を置くことで、結果として「言うべきことが言えるリーダーになる」との難しいテーマに近づいていくことを信じています。

リーダーの能力2ー自己管理する力~積極的外部活用を

 リーダーの日々は葛藤の連続です。葛藤から生じるストレスなどで精神、また肉体を酷使こくししてはいないでしょうか。そういう状況のなかで、無理をつづけると身体を壊すばかりでなく、冷静な判断を損なう恐れがあります。心身共に健康を保つ工夫は様々ありますが、本来の自身の力を発揮するためには、まずは、自分自身の状態を的確に把握することが重要です。

自分自身はなかなか見えない

さりとて、私たち人間は他人のチェックはできても、自分自身をチェックする「セルフチェック」は難しいものです。自分を客観的に評価できない……、それが私たちの特徴なのでしょう。

たとえば、五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)で考えてみましょう。視覚では、他人の後ろ姿はチェックできても、自分の後ろ姿は見えません。自分の目の一番近くにある睫毛(まつげ)さえも、自分ひとりで見ることはできないのです。録音した自分の声、「こんな声だったのか?」と思うはずです。他人が聴いている自分の生の声を本人は聴くことができません。その他も同じです。他人に(さわ)られると、くすぐったい、あるいは不快を感じるのに、同じように自分で触ってもそうは感じません。また、他人の口臭や体臭は気になっても、自分の匂いは分からないものです。

このように、自分を的確に見ることは難しいものです。まして、目に見えない自身の内面の状態を知ることや、経営現場での判断のベースとなる理念や経営哲学からズレている自分に気づくことは極めて困難です。

だからこそ、経営者には自分や会社の状態を的確にチェックしてくれる指導者が必要です。経営が厳しいときこそ、経営者のことを気づかい、遠慮なくチェックしてくれる指導者が必要です。

コーチのような存在を

経営者の「セルフチェック」を代行する指導者は、スポーツ選手にとってのコーチに似ています。選手が好調なときも、コーチはより高い目標に向けてフォームをチェックし、不調にならない方法を提案したり、さらなる改善策を検討します。それでもスランプに陥ったときは、親身になって打開策を示すのが選手にとって最高のコーチです。近年ではビジネスの世界でも「コーチング」が脚光をあびており、多くの皆さんが活用されていることと思います。最高の指導者は企業業績の好不調にかかわらず、常にチェックをつづける伴走者(=信頼できる水先案内人)なのです。「なぜ、企業が好調なときもチェックが必要なのか?」と言えば、実は好調時こそ経営者は自社の状態をチェックできず、経営バランスを崩しやすいからです。たとえば、収益を設備投資に使い過ぎたり、人材を採用し過ぎて経営バランスを崩すケースなどです。あるいは、経営者が自分を見失って散財してしまうといった不用意な行動も、後になって経営バランスを崩す要因になります。好調時に「儲かっているから大丈夫だ」、「まだ、売上は伸びるはず」と過信したり、不調時に一発逆転を狙うようなリスクの高い投資をしてしまったり、あるいは、苦しい時にその場しのぎのことをしてしまったりと、誤った判断をしそうな時に指摘し、よき方向へと導いてくれる存在が経営者には必要なのではないでしょうか。

サービス紹介:インストラクションコーチング

決意は自分持ち

ここまで、自己管理は自分自身ですることは非常に難しく、自分を正してくれる存在や伴走しながらアドバイスをもらえるものが重要との話をしてきましたが、大事なことはアドバイスや知恵あるいは方向性のヒントはもらえたとしても、実行するのは自分であり、決意は自分持ちということを忘れてはなりません。コンサルティングを受ければ、コーチングを導入すれば、結果が変わるとつい思いがちです。自分の実践行動が変わらない限り、何の変化も起きません。繰り返しになりますが、決意は自分持ちだということです。

昨今は情報があふれている時代でもあります。あれこれと、つい手を出したり、気が移ってしまいがちです。勿論、情報はよくよく見極めた上で、自分が決めたことをやり切る、やり抜く、貫くとの決意を持ち続けることが、結果的に自己管理能力を高める道にもつながると確信します。

リーダーの能力3ー判断力~基準は人的資源に対する見方

経営現場では、新規事業への進出や店舗展開、設備投資、業務改善や人事・組織改革等々、時々にリーダーの判断や決断が求められることは様々あります。そして、その判断によっては、経営が大きく左右されます。正に判断は力ともなります。

キーワードは〝人〟

一般的には、売上や経費といった計数管理や市場の状況・時代の流れ、あるいは競合他社の動向などをもとに、経営判断がなされていることと思います。たとえば、業績アップを見込める構想であり、明らかに需要も見込める、そして資金も調達できるという状況判断から、新規事業や新店舗を決断することがあります。また、時代のトレンドや市場動向などを研究し、様々なことを現場に取り入れていることとも思います。

ところが、真剣に検討を重ねたうえでの構想や方法論を展開しているはずなのに、いざ(ふた)をあけてみると、望むような結果がでないということは少なくないのではないでしょうか。

それらは、表面的には様々な要因が挙げられるにせよ、つまるところ、〝人〟という問題で苦しんでいることが多いように思います。最近よく言われるHR(ヒューマンリソース)の不足。あえて言うならば、誰が現場の指揮を()り、どういうスタッフたちがいるのかと、その〝人〟の違いで結果は違ってくるのです。あくまでも、構想や方法論を現実化していくのは人間です。その〝人〟という存在を忘れ、展開論や方法論、あるいは、経営的な諸条件ばかりを判断基準にしても、うまくはいかないのではないでしょうか。

〝人〟を中心に考える

では、〝人〟も判断材料に組み込めばよいのか。もしくは、人材育成もしっかり考えていればよいのか・・・といえば、そういうことだけではありません。危惧するのは、人を後づけに考えることです。ともすると、事業展望を進める〝ため〟の人、方法論を現実化する〝ため〟の人、と展開論や方法論を中心に考えてしまうものです。事業や取組み(事業・利益計画等)が先にあって、そのあとに、社内では誰々、いないから求人をとの展開になりがちです。

ここで思うところは、〝人〟を中心に考えるということです。たとえば、ホテルや宿泊業では、コロナ禍にあって設けられた事業再構築補助金を基に新たな事業を模索している企業が多数あります。それ自体は全くもって素晴らしいことです。しかし、多額の支援にばかり目が向いて、肝心な事業の中心者の存在、或いはお客様へのサービスオペレーションの構築がまだまだ不足なまま採択を受けている事例が見受けられます。何を中心に考えるのかで、計画段階に何をするのかも違ってくるように思います。

参考:事業再構築補助金が採択された宿泊業の企業様へー事業推進のセカンドオピニオンにご相談はいかがでしょうか?

最近はメディア等でよく取り上げられているグランピングなどは、コロナ禍だからこそできるお客様への満足の提供でもありますし、そこからの売上も大切です。また集客合戦が予想されるウィズ~アフターコロナ期に対しての試金石ともなりうるものでもあります。使えるものはフル活用していかなければなりません。一方で、人を中心に考えたならば、それとは違う発想や活用も出てくるのではないでしょうか。例えば、スタッフの家族を招待して施設においてリフレッシュをしたり、施設の意見をもらったりすることもその一つです。また、SNSを活用してスタッフ自らが施設利用と会社の考えを発信してもらうことによって集客以外にも企業ブランディングのひとつとしても活用できます。

さらに一歩踏み込んだ一例を挙げるならば、普段はなかなかできない、スタッフのスキルアップを図る研修や人間的成長を促すことができるような研修なども考えられます。スタッフにとって、お客様により満足してもらえる自身へと成長することは、何よりも嬉しいことのはずです。

申し上げたいことは、リーダーの判断基準で大切なことは、「人」つまり人間が中心にあるのかどうかです。確かに、経営状況や損益、市場動向や時代の流れ、あるいは、展開論や方法論も必要なことです。しかし、展開や方法がいかに正しくとも、〝人〟によって結果は変わります。また、何を中心に判断するのかで、やることは違ってくるのです。

結論的に申すならば、経営上プラスになるかどうか、業績アップをするのかどうか、そういうことが判断基準ではありません。言うなれば、一人ひとりが積極的、且つ、意欲的に業務に当たり、充実感ややりがいを持つことが大切ではないかと思います。そしてそれが、結果的に、会社発展の(いしずえ)になると信じています。「人」、「人間」を中心にしていくことで、新たなものが見えてくるのではないでしょうか。

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