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企業に求められる価値創造の力

企業に求められる価値創造の力

世の中の変化に対して価値創造で応える

この数年を見ても、コロナ禍からウクライナ危機、物価上昇と目まぐるしく世の中が変化しています。規模や領域の違いを越えて、この時代に会社経営をしていく中で求められている本質とは何なのか?それは「価値創造」の力だと私たちは考えます。今回は、価値創造とはどのようなことを言うのか?どう取り組めばいいのか考えてみたいと思います。

変化の本質を真剣に見つめる

世の中は変化変化の連続です。その目まぐるしい変化の底流には、価値・価値観の変化があるように思います。

たとえば、自動車業界を見れば、軽自動車、RV車、そしてハイブリット車や電気自動車、自動運転システム等々、数えきれないほどの車種や技術があり、地域によっては、寒冷地対応車もあります。それはまさに、多種多様な「価値」に対応した結果の表れでしょう。また、かつては、スピードやパワーのある車が競って開発されていたのが、今では、エコカーをはじめ、低燃費・低CO2排出などが大きく注目を浴びています。これもSDGs、環境保護、エネルギー問題が深く関係しています。その一方で、私など昭和生まれの車に憧れを抱いていた世代にとって、にわかには信じがたいことですが、今、若者の間ではカーシェアリングという傾向もあります。こうした変化は、まぎれもなく、価値・価値観の変化の表れではないでしょうか。そして、あえて積極的に言うならば、価値によって経済が動いているとも言えるように思います。

特に、スマートフォンにタブレットなどのモバイル端末、facebookやLINEといったSNSの普及など、IT関連の進化・発展によるネット社会は、生活様式を変えるほどの影響をもち、新たなものが次々と生み出されています。

アマゾンは中古書籍の流通を変えた代表的仕組みではありますが、それに留まらず、今日では様々な品物を扱うネット上での販売業に発展しています。また、商品を購入するごとにポイントが付くサービスも、ここ数年大きな広がりを見せています。これらは変化激しい小売業にあって新しい流れを感じさせるものです。コロナ禍にあって非接触型の決済サービスも驚くほどに日常化しました。

SNS? そういうのは苦手です。購入ポイント? カードばかりが増えて面倒だ。電子決済・・・? よく分からない・・・という意識では、変化の本質を読み取ることはできません。こうした変化は何を物語り、どう将来に向かっていくのか。変化の底流にある、価値・価値観を真剣に見つめることが本当に大事なことだと思います。

変化する価値

価値・価値観は、時代によって、地域によって、あるいは状況によって、変化しています。その他にも、事件や事故によっても、価値・価値観は急激に変化します。

大震災を経て、免震・耐震の他にも土地の高さ(標高)や地盤など、自然災害に対する土地の安全性が注目されるようになりました。また、飲酒運転による痛々しい事故が多発し厳罰化が施されると、ノンアルコールビールやノンアルコールカクテルのCMが目につくようにもなりました。そして、電力不足が問題となり、ソーラーパネルが遊休地に一気に広がりました。

変化する価値。それは、価値あるものが価値的でなくなり、あるいは、価値的でなかったものが、改めて価値を評価されるような一面もあります。単純な言い方をすれば、売れていたものが売れなくなり、売れなかったものが売れるようになったりと。

また、大手家電専門店や量販店が圧倒的なシェアを占めるなかで、頑張っている町の小さな電気屋さんもあります。その電気屋さんは、電化製品にくわえ、操作説明やちょっとした修理ばかりでなく電球一個の交換まで、電話一本で飛んでいく。大手がやらないこと、できないことに目を向け、そこに価値を生み出しています。

価値というと、難しく、理屈っぽいイメージが先行しがちですが、今とても、そのことが大事に思えてなりません。

申し上げたいことは、価値の全体像をつかみ、お客様にとって何が一番大切なのかという価値を創造していくことです。企業経営とは、いわば、価値創造の追求です。変化に対して価値創造で応える。変化に対してどう価値を創造していくのか。今まで以上に真剣に考えなくてはならない。価値を知る、それが勝ちに通じます。

 

価値創造する手がかり

時代の変化を追いながら、価値観の変化に伴う商品やサービスの変化を見てきました。それでは、私たち身の回りに置き換えると、どのような実践が求められているのでしょうか?

認識してこなかった価値がある

変化しつづける時代のなかで、我々は新商品や新サービス等々、新しい価値を創造していかなければならない。そのためには、どんな商品を扱い、どういった接客をし、どういう企画をすればよいのか、市場(世間)が認める価値を掘り起こす必要がある。

ところで、私たちは世の中にある価値をどれほど認識できているでしょう。情報としては知り得ても、認識し得ない世界が数多くあるのではないでしょうか。

日本から遠く離れた世界各地では砲弾が毎日のように市街を飛び交っている。戦禍に逃げ惑う人々の映像を目にして、痛ましいと思いながらも、別世界のような感覚で生活を送り、飢餓に苦しむニュースを耳にした矢先に、飽食を当たり前にして物事を考えてしまう。

これらニュースの先にある人々の生活や価値観は、日本の日常生活からは想像できない次元のものではないか。あるいはまた、私たちが当たり前として見失ってしまっている価値を再発見することも。

また、国内をみれば、高齢の親子が貧困死してしまったニュースがありました。ほかにも、高齢者の孤独死というニュースもある。ヤングケアラーが実は身近にいる可能性もあります。こうした社会問題は知ってはいても、身の回りの世界からあまりにもかけ離れた、実感のないものとして意識から遠のいてしまう。

そうした一方で、世界的に著名な資産家や富裕層は一泊数百万円もするスイートルームに宿泊しているのも事実。これも同じように、存在は知っていても、とてもうかがい知ることのない世界のように思う。

そして、身近なところに目を向けると、携帯電話が日常生活から離すこができないほど価値が認められているが、フェイスブックやツイッター、ラインなどSNSという新しいコミュニケーションツールは、実際のところ、どうなっているのか解らない人も多いのではないか。日進月歩する技術革新により次々と生まれる新しい価値をどれだけ認識しているでしょう。また、必要不可欠な存在であることを認められる車ではあるが、価値として興味を示さない若者が増えている。そしてその傍らで、一台数千万円の車を購入する人もいる。さらには、世界の注目を集める東京モーターショーをニュースで知っても、実際にそこで披露される最先端の技術を知らない人もいる。付け加えて、何十億円もする絵画や骨董品においては、その価値を認識できない人にとってはいかがなものだろうか。つまり、我々が生活している範囲の価値は、全体からみれば極めて小さい範囲といえよう。まったく知らない世界の価値が実際に存在し、さらには、情報として知り得てはいても、価値として認識できないことが数多くある。

価値創造する手がかり

私たちは、価値として認めたものには興味を示し、価値として認めないものには、それに関する情報を遮断してしまいがちです。

身の回りの生活環境からは想像し難い世界のニュース、日常生活からは考えられない価格の商品、理解できない分野の事柄、興味のないもの等々。

海外での出来事は情報としてしか知り得ないかもしれない。国内の出来事も身に迫るものではないかもしれない。しかし、そこから何かを感じ取ることも大切です。また、東京モーターショーや絵画展に行くことも、新しい価値を知る手がかりとなり得ます。一泊数百万円のスイートルームは無理でも、コーヒー一杯三千円の喫茶店に行くことで、知らなかった世界を垣間見ることができるかもしれない。たとえその価値を理解できずとも、何か刺激を受け、触発される部分もあるのではないでしょうか。

知らない世界、認識できずにいた価値を認識することで、そこに新たな価値創造の可能性が生まれてくるように思えてなりません。

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