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新入社員を育てるー環境の整備と個々人の目的観の醸成が新入社員育成のポイント

新入社員を育てるー環境の整備と個々人の目的観の醸成が新入社員育成のポイント

新年度に入り2カ月が経過します。4月から社会人となった皆様は、奮闘の真っ最中かと思います。今回は、新入社員の皆さんが人材になる、育つための大事な視点をお届けします。先ずは受け入れた側・育てる側に関する視点です。(記事執筆:2022年5月30日)

環境を整える

新入社員を迎えるとリーダーの方々は、自分たちが新人を〝育てる〟という意識になりがちです。そのため、育成方法や教育マニュアルばかりに気を取られていませんか?

それも大事ですが、新人が伸び伸びと育つことのできる〝環境づくり〟に力を注いでください。彼らが育ちやすい環境を整えること、それがリーダーの役割です。

〝育てる〟といって、新入社員一人ひとりの個性も性格も見ず、教育マニュアルを当てはめるのは、まるでマシンを製造しているように見えませんか? 〝環境づくり〟とは、あえて比喩を使って表現すれば、苗木(新人)が育ちやすい環境を考えるということです。それにはまず、清浄な水が必要です。次に、明るい日の光。そして、肥沃な土壌です。

リーダーの皆さんは、自分の会社が新人たちに用意した環境を思い浮かべ、どのような水・光・土壌を提供しているか、具体的にチェックしてほしいのです。さらに、苗木にはウメ、サクラ、モモなどの様々な種類(個性)があり、それぞれ肥料も違えば、開花する時期も異なります。ウメは熱帯の気候や土壌では育たないし、モモは寒冷地では育ちにくい。苗木ではなく、米や麦、各種の野菜に置き換えたほうが考えやすいかもしれません。一人ひとりそれぞれの性格に合った水・光・土壌という環境こそが大切で、育む基本ではないでしょうか。

マニュアルや通りいっぺんの教育プログラム等で、新入社員の一人ひとりを(じっ)把一(ぱひと)(から)げに扱うのではないのです。一人ひとりの新入社員と向き合い、一人の人間としての関わりを持つのです。人間は器用な人もいれば不器用な人もいる。理解の速い人もいれば遅い人もいます。個性も夢も違う人材を育てるには、一人ひとりの人間を尊重するという角度(視点)が求められるのです。一人ひとりの顔が異なるように、性格や個性も違うのですから、個々の可能性が発揮できるような環境をつくることが大事なことだと思うのです。

 

何のためにこの仕事をするのか

 

次に、新入社員の皆さんにぜひ確認していただきたいポイントをお伝えします。これから述べることは新入社員に限らず、どのような方にも当てはまる内容です。実は、入社〇〇年!という方々にも大事な点ですので是非参考にしていただけたら幸いです。

 

弊社アンリミテッドのテキストには、このような言葉があります。

「行き着く港のない船に、風はけっして帆を押さない」

 

「行き着く港」とは時代や状況が変わっても変わることのない目的です。個人で言えば仕事観、会社で言えば経営の目的・経営理念にあたるでしょうか。仕事や経営が順調なときにはここを目指し、環境が厳しくなると違う方向を、といったような、時代や状況によってくるくる変わってしまうようなものではありません。環境に紛動されることのない「心からなる願望・希望」それが「行き着く港」なのです。

今の時代、多くの方々が「行き着く港」がないまま、前に進もうとしています。大切なことは、何があっても変わらない、状況が良くても悪くても変わらない、「行き着く港」をもつことです。個人においても、企業においても「行き着く港」がなければ、風は決して帆を押すことはありません。

「何があってもあそこに行くのだ」という港があるからこそ、様々な状況の変化にも立ち向かうことができるのです。けれども多くの場合には、現実があまりにも厳しく、仕事や経済状況があまりにも困難だから、希望を持ちたくても持てないと嘆くのです。

しかし、それは逆さまなのです。「行き着く港」が存在しないから明確な方向性を示せず、打つべき手に確信を持てないのです。こんな状態で、結果が良くなるわけがありません。一時のしのぎはできたとしても、壁に突き当たることは(いな)めないでしょう。結果、厳しさに打ちひしがれてしまうのです。

生身の人間だから、倒れる時もあります。病に伏す時もあります。けれども、どうしても行きたい港がある人は倒れないのです。たとえ倒れたとしても、また立ち上がる強さがあるのです。「行き着く港」を持った人生は強い。

では「行き着く港」はどこにあるのか。弊社が主催した経営セミナーでのある社長の体験談のなかに、「自分は倒産の危機を味わい、何とか乗り越えようと必死で取り組んできました。おかげさまで今、その倒産の危機を乗り越えました。しかし、そのなかで気がついたことがあります。それは、売上げや利益がゴールではないということです」とありました。つまり、売上げや利益は「行き着く港」ではないということです。個人で言うならば契約の獲得や仕事上での成功がゴールなのではないということです。

 

何故、何のために

「何のために生きるのか。何のために頑張るのか」。いま一度、自らに問い直してみましょう。生活のため、お金のためと答える人も多いと思います。しかし、お金のため、もしくは自分の生活のためだけだとしたならば、今の職業や会社でなくとも、もっと多くのお金を得ることができる場合もあるでしょう。

「なぜ、何のためにこの仕事をしているのか?」そこをもう一度確認する必要があるのです。〝なぜ〟〝何のために〟を明確にしなければ、今の仕事は、単に生活のための糧を得る〝手段〟となってしまいます。仕事が手段になってしまっては、そのなかでの喜びや感動も小さくなってしまうのではないでしょうか。自らが仕事をする本当の意義を発見できた時、その仕事に魂が入り、勢いも増すことでしょう。さらには得られる喜び、感動も大きなものになるでしょう。

「このために、この仕事をしているのだ」との原点がない人は、一日仕事をしても「あ~疲れた」で終わってしまいます。そして、仕事以外のことに喜びを見出し、いずれどんどんわき道へとそれていく可能性も増えていきます。

自分の仕事に誇りを持てる原点を一人ひとりが持っているならば、社内は喜び溢れた集団になると考えます。逆に、決まった時間だけ働き、報酬だけもらえればいいと思っているスタッフや、思いがバラバラのスタッフが集まったとしたならば、社内を喜びの集団に変えることは難しいでしょう。

皆が誇りや喜びを心から感じて、今の仕事にあたっているとしたならば、社内はもっと勢いがついてくるはずです。一人ひとりに原点があることがいかに大事かということを知っていただきたい。

 

「負けるな、磨け、そして勝て!」

新人の方々には研修期間であっても、助手という立場であっても「責任のある社員」という意識をしっかり持ってほしいと思います。アンリミテッド創立者はいつも我々を「負けるな、磨け、そして勝て!」と激励してくれました。この言葉をそのまま新人の方々へ贈ります。それぞれの状況によって、この言葉の捉え方は様々あるでしょう。「学生気分に甘えた自分に負けるな」、「厳しい現実に負けるな」、「人間関係の悩みに負けるな」というように、自らを鼓舞し、どんなときでも負けない自分を目指して下さい。

そして「どんどん学び、吸収して磨け」、「自分を鍛えるように磨け」と、少しでもステップアップできるように自分を磨いていただきたい。更には「粘り強く継続して勝て」、「諦めずに逆転して勝て」、「実力を身につけて勝て」と願っています。新人の皆さんが、そのパワーを最大限に発揮し、素晴らしい未来を築いていくことを信じています。

 

「原点とは、人生行路を照らす導きの星であり、豊かな創造と前進のバネであります」

 

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