営業不振!若手営業スタッフが成績を上げるにはどうすれば良いのか?―現場の悩みに答えるヒント

頑張っているのに営業成績が上がらない、上司の指示に従っているのに売上げが伸びない・・・といった悩みを持っていませんか?それほど深刻に悩んでいなくても、もう少し成績を上げたいと熱望している人も多いはずです。そこで今回は、営業成績を上げるためのヒントを考えていきたいと思います。
Ⅰ.大前提として先ずお客様のお役に立ち喜んでもらう
営業成績が思うように上がらないと「買ってくれない客が悪いんだ」と、お客様(顧客)を原因(理由)にする人がいます。あるいは「商品の質が低いから」と、担当している商品やサービスが低レベルなのだと決めつけてしまう人もいます。
しかし、本当にそうなのでしょうか。同じ条件のなかで、成績を上げている先輩や同僚がいませんか?
〔1〕営業に取り組む三つのステップ
営業成績が上がらない理由の多くは、努力をしているのに、その努力がお客様に伝わらずに「空回り」しているからだといわれます。努力の「空転現象」を防ぐために、次の「営業に取り組む三つのステップ」を、階段を昇るように歩んでみてほしいと思います。
①第一ステップ・・・・・・お客様の役に立つ情報を提供する
努力の「空転現象」を防ぎ、どうしたら「お客様の役に立てるのか?」を考えましょう。そのためには、お客様が望んでいること、ほしいものを事前に調べ、いかにお客様の役に立てるかをイメージします。お客様の役に立つ情報を数多く持ったうえで、営業、訪問活動等してみましょう。
②第二ステップ・・・・・・お客様に先ず好かれるようにする
面談や訪問するアポイントを取り、実際にお会いしたら、先ずはお客様に好かれる努力をします。営業に限らず、円滑な人間関係を築くには、相手に好かれることが第一歩です。
どんなに優秀な営業テクニックを持っていても、相手に嫌われたら、その能力はかえってマイナスになってしまいます。好かれるためには、お客様の話を謙虚に聞き、お客様のことを知り尽くす努力が必要です。
例えば、お客様の仕事の内容、年齢、趣味、出身地のほか、どんな食べ物が好きなのか、好きなスポーツ、愛読書、お酒、ご家族やご兄弟、誕生日などを会話のなかで聞き出してみてください。さらに、どんな夢を持っているのか、困っていることやお悩みについても、チャンスがあれば聞いてみましょう。
③第三ステップ・・・・・・お客様に喜んでもらう
お客様との距離が縮まり、親近感を持っていただいたら、お客様の味方になって考えながら行動します。①と②のステップを確実に踏んだうえで、この第三ステップに進むことが大切です。つまり、お互いの人間関係を築いたあとで、初めて自分が営業している商品やサービスについて提案するのです。お客様が本当に求めているものを把握しているからこそ、最適な提案ができるはずです。
自分の成績を上げるための利己的な営業は、必ずお客様に見破られてしまいます。単に売りたいというだけの想いは、相手に伝わってしまうのです。お客様の役に立ち、喜んでもらうには、どのような提案をすべきなのか?この点をよく考えてみてください。
〔2〕良い成績を上げるための法則
いま述べた「営業に取り組む三つのステップ」を的確に実行すると、努力の「空転現象」は少なくなっていくはずです。空回りしない人間関係を築くことができたら、今度は「良い成績を上げるための法則」を実践しましょう。
①面談・訪問回数と頻度を増やす
これは誰もが納得する当然の法則です。「よい成績を上げるための法則」とは、
【面談・訪問回数×面談・訪問頻度】です。回数を重ね、その頻度を増やしていけば、成績は必ず上がります。そこで、お客様ごとに面談・訪問回数と頻度を記録してください。営業管理台帳のようなフォーマットに、訪問回数と頻度を記帳しておけば、いつでも簡単に把握できます。
例えば、今月中にお客様のA氏に二回、B氏には三回、面談していた営業マンが、次の月にA氏に三回、B氏に四回、C氏に二回・・・と増やしていけば、契約数や成績が上がる可能性が増すはずです。
②同行営業などでアドバイスを受ける(振り返り)
ところが、アポイント先も面談頻度も多いのに、成績に結びつかないケースもあります。以前は順調だったのに、急に成績が落ちてしまう営業マンもいます。多くの場合、自分の行動に無意識のうちにブレーキをかけ、スランプ状態になっているのです。こんなときは、例えば上司や先輩営業マンに同行営業をお願いしてアドバイス(コーチング)をもらいましょう。自分では最善だと思っていても、知らず知らずのうちに営業の基本から逸脱しているかもしれません。歩むべき道から外れると、多くの人が迷ってしまうものです。また、営業成績が思うように上がらない理由の一つに、アフターフォローが足りないという場合があります。次には、アフターフォローについて述べてみたいと思います。
Ⅱ.お客様へのアフターフォローが新規顧客を生み出す
営業成績が思うように上がらない······と悩んでいる方で、特に若手スタッフの皆さんは、先に述べた「営業に取り組む三つのステップ」と「よい成績を上げるための法則」を実践してみてください。そしてもう一つ、大事な内容は「新規顧客を獲得する方法」です。
でも、皆さんのなかには「新規のお客様を増やすなんて、難しいのでは?」と尻込みする人もいるかもしれません。また「面識のないお客様に営業することは、苦労ばかり多く、結果が得られない」と諦めてしまう人がいるかもしれません。
そこで、新規顧客を増やすための方策(ベテラン営業マンはご存知だと思いますが・・・)をご紹介します。
〔1〕新しい顧客を得る鉄則は「アフターフォローの徹底」
新規顧客を増やすには、すでに得意先となっている顧客へのアフターフォローに力を入れましょう。新規を得るには「アフターフォローの徹底」が鉄則です。なぜなら、アフターフォローを重視すると、その顧客はあなたを一生懸命な営業マンだと感じて「私の知人にアプローチしてみたら」と、新しいお客様を紹介してくれることが多いからです。
つまり、遠回りのように見えても、現在のお客様に対するアフターフォローを熱心にすることが、新しいお客様を生み出す最も近道な方法なのです。その具体的なプロセスを考えていきましょう。
①お客様の「声」を集める
現在のお客様と会話をするなかで、自社に対するクレーム(不平不満・苦情・不行き届き)や意見、提案を徹底して聞き出してください。お客様のホンネが出るまで、熱意をもって聞かなくてはいけません。謙虚になり、こうしたお客様の「声」を聞き取り、集めてほしいのです。
②社内で改善策を決定
聞いてきたお客様の「声」を社内で検討し、お客様の立場から考えた具体的な改善案を考えてください。いくつかの改善案のなかから、ベストな改善策を決定します。
③改善策を実践
決定した改善策をスピードをもってお客様にフィードバックし、現場で実践してください。たとえ小さなクレームでも、それを真剣に検討し、誠実さとスピードをもって対応すれば、お客様ははじめは訝しがることも有りますが、次第に「うれしい」「助かる」「ありがたい」と感じます。そのとき、お客様の満足度が高まり「君たちの会社なら安心だ」というプラスの波動が広がります。そして紹介や口コミが広がり、道が開けるのです。
〔2〕アフターフォローと新規営業の鉄則
アフターフォローを重視することは、先に述べたように「お客様のために」「お客様に好かれ、喜んでもらう」という営業の原点と一致します。
①お客様を理解する
営業成績が思うように上がらない人は「お客様のためになることは何か?」を探し、考えてください。お客様への熱意があれば、それが改善策=アフターフォローにつながり、お客様はその熱意を感じて、行動してくれるはずです。なぜなら、お客様(人間)というものは、常に「分かってほしい」「理解してほしい」と望んでいるからです。お客様のクレーム、意見、思いを営業担当者がくみ取り、それを理解して「何とか改善しよう!」と考えて行動してください。そうすれば、お客様も「私を大切にしてくれた営業マンのために」と新しいお客様を紹介してくれます。
②アフターフォロー60%:新規営業40%の割合で
次に、紹介していただいた新しいお客様に対して、顧客になってもらう営業をします。この新しいお客様を獲得できれば、間違いなく成績は上がりますが、あまり焦ってはいけません。毎日のように連絡しては、かえって迷惑になる場合もあります。従来の顧客へのアフターフォロー【60%以上】と、新しいお客様への営業活動【40%以下】の比率、バランスが基準です。これがもう一つの鉄則です。
③"利己"ではなく"利他"
新規営業が順調に進み、成績が上がったとしても、その数字だけを追い求めては失敗します。
「とにかく成績=数字を上げたい」という〝利己〟的な思いでは良い成績は持続しません。「新しいお客様にも喜んでもらおう」という〝利他〟の姿勢を大切にしてください。
少し話が逸れますが、2022年に話題になったドラマで「正直不動産」というテレビ番組がありました。不動産営業の現場をコミカルに、また業界の真実をうまく表現した内容で好評だったようです。この主人公は有るきっかけで嘘が言えなくなってしまいます。自分の営業成績が欲しい、けれども、それを言っては契約にならない。だから、上手く言いくるめて契約を・・・すると、つい口から本心が出てしまう。勿論それを聞いたお客様は怒って契約を結ばないとなるのですが、ある時から、その本人の本心が顧客の側に立った思いになります。つい本心(本音)を口にすることがかえって顧客からの信頼を得て営業成績を上げていく内容でした。テレビドラマとはいえ、営業の本質をついていると思います。
(参考:NHKドラマ正直不動産 https://www.nhk.jp/p/ts/5GKZ6NXYVM/)
営業でいえば「今年は〇〇件を契約を取るぞ」という営業側だけの利己"の捉え方ではなく、「〇〇さんという方が、喜び、感動し、満足をしてほしい」という利他”の姿勢で臨んでほしいと考えます。"利他〟の精神で、お客様が望んでいるモノ・コトを察知し、素早く提供する。これが新規営業でも最も大切なのです。
今回は、「営業不振―若手営業スタッフが成績を上げるにはどうすれば良いのか?」と題して書いてきました。営業現場で日々頑張っている皆様の参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。
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