正しい目的をもとにした目標を立て、有効な手段を打つために

「目的」と「目標」
目的と目標の違いについて、皆さんはご存じでしょうか?インターネットなどで調べれば直ぐに分かるものですが、仕事上で、或いは学校など教育現場でも以外に混同して使われたりしているのを見かけます。
◆目的と目標の違いとは
あくまでも一つの認識ではありますが、
目的とは・・・何のために、目標は・・・どのように(数値も含む)ということだと考えます。
いくつか例をあげてみたいと思います。
【高校野球の場合】
甲子園出場・・・目標/野球を通じた人格形成・人間教育・・・目的
【会社経営の場合】
年間売上の達成・・・目標(*目的ではない)/お客様と社員の幸せのため・・・目的
といった内容になるかと思います。皆さんも身近なことを思い浮かべながら目的と目標について考えていただけたらと思います。
◆仕事の目的の確認
いま、時代は仕事の進め方に変化を求めています。今までのように常に上からの指示を待つのではなく、自らの力で問題点を発見し、自ら力で高い目標を掲げ、そして自ら力で挑戦するという、そんな人財像が会社を成長させてゆきます。これには、経営者と同じ立場に立った考え方や、本来の店の主としての基本姿勢や積極的な行動が基本になっています。これらの条件をすべて備えた人財こそが本当のTOPリーダーと言われる人たちです。そんなTOPリーダーの仕事のスタートは、まず「仕事の目的」の確認です。その仕事の目的とは、一番に「お客様の満足を得ること」です。となると全ての判断基準は、お客様の立場に立って、そして仕事の優先順位はお客様第一主義で行わなければなりません。この「仕事の目的」の確認こそ、リーダーが、まず最初にすべき仕事です。
だから彼らは共通して、お客様最優先の哲学を自らが実践できるのです。そのお客様優先の徹底した実践行動こそが、まさしく仕事の成功あるいは繁盛するお店への道となってくる
のです。しかし、この基本的なことが出来ていない幹部・リーダーが実に多くいます。結果、売上で苦しむ、スタッフ教育で壁にぶつかってしまうのです。
例えばお店の場合、売上高=来客数×客単価と表すように、売上高のスタートは来客数です。
そして、その来客数は、実はお客様の満足度が大きく影響します。それは、お客様最優先の考え方を実践することで、自らの力で来客数を増やし、そして自らの力で売上高を高めることで、お店を繁盛店へと導くことができるのです。
仕事の目的の確認とは、お店を会社を繁栄へと導くTOPリーダーの働く基本姿勢のことでもあるのです。
◆目的と目標の確認
次にリーダーが行うことは、仕事の目的にそった「仕事の目標」の確認です。
これは、「お客様の満足を得る」という仕事の目的のもとに、自らの力で問題点を発見し、そして自らの力で、確かな高い目標を掲げることです。この仕事の目的と目標が合致し、そして、自らの力でその目標達成に向けて挑戦した時に、はじめて新たなお店の歴史が始まるのです。全てはお客様最優先に徹した考え方と、その実践行動です。だから、常に大きな夢と、そしてお客様を大切にしてゆく〝サービスマインド〟を持って、仕事の目的と目標を確認しながら、改善・改革の挑戦を繰り返して行うのです。この仕事の目的と目標の確認をしながら、繰り返される挑戦こそが、自主的な職場環境或いは店舗運営が出来る本物の人財への道にもなってくるのです。
そのためには常に率先垂範、そしてお客様最優先の考え方(フィロソフィー)を自らが実践しつづけ、更なる成長のために、業務に関する知識と経験を積みながら自己育成に努めてい
るのです。
「手段」と「目的」の考え方
日ごろ疑問もなく取りかかる行動や仕事。意識しないでいると手段と目的が曖昧になり、やったあとで『一体、何のためにやってきたのだろう・・・?』と考え込んでしまうことがあります。ここからは「手段と目的」について考えてみたいと思います。
◆当面の目的と将来の目的
(1)ただただ、お金持ちになりたいと強く望む人がいて、生活を切りつめ、苦労も人よりたくさんして頑張る。そうして人並み以上の金持ちになったとき、もしも、なぜか心が満たされず、その理由も分からないとしたら、大変不幸なこととなるのではないでしょうか。普通は〝幸福になることを目的〟に、お金を手段として貯めるものです。ところが、最初は幸福を目的に始めた仕事も、日々お金を追い続けた中、お金を貯めること自体が目的となってしまったところに大きな誤りが生じ、結果として心からの充実感が伴わないのです。
(2)健康のために痩せたい、10キロ減量したいと考え、それを目的に必死に頑張っています。この先、目的が達成したあと、本人の心の中に、果たして本当の満足感が得られるでしょうか?得られる場合もあれば、そうでない場合もあるでしょう。でも、減量の目的を最初に持ち、つらい減量の後、健康体になったら、その健康体を何のために使うのか?が明確にあれば、更に将来に期待がふくらむこととなります。むしろそれが大切なことと思います。
(3)成績が良くなりたいと考え、必死に受験勉強に励んでいる人がいるとします。努力の甲斐あって、自分が目指した大学に入学できて喜んで数日たったころ、その人はどんな思いになるでしょうか?
喜びが大きいほど、冷静になって思うのは、その後、何を目的にして生きていくのか?と考えることでしょう。つまり、学んできた目的はいったい何だったのか、自分の再確認が必要になるのです。もしも、それが不明確な場合は、積み重ねてきた貴重な努力が次のステップにつながらない状況を生むと思うのです。
◆何のために学んでいるのか
そもそも、○○学と言われる学問は全て、真理を求めるためにあります。経済学であれば経済の分野に流れている原因と結果の法則(因果律)を実例と理論を通して学び実証していく。医学であれば、医学の分野での法則・因果律について。これらは物理学、社会学、科学、生物学、心理学等々・・何の学問であれ、全てに当てはまることであり、その中に目的があります。
大切なのは学んで得た知識・理論を何のために使うのか、この“目的”こそが、最も大切なのです。学ぶだけではなく、活用するところに目的はあるはずです。物の性質と加工方法を学んで、新しい商品を作ったり、経済界の仕組みを学んで新しいビジネスを生み出したりする。そして人間学を学んで、まわりに良い人間関係を築き上げていく。そのようにして、すべての学問は、私達人間を幸福にする目的に生かすために存在しているのです。人生の目的は、誰の場合でも「幸福になること」なのです。
◆何のために、との目的感が明確ならば
今も、最前線の現場で懸命に、汗と涙を流して頑張っている方がいらっしゃいます。今やっている、この苦労は何の為なのか?もしも、その人が分かっていないとしたら、頑張れば頑張るほど、単に苦労が増えるだけ、結果として後悔だけで人生が終わってしまうことでしょう。
建築物の設計をするのも、魚を獲ったり料理を作ったりすることも、例えば「お客様に喜んでいただく。この仕事を通して生き甲斐、やりがいを求めていくのだ」このような目的感を持っているとき、苦労が単なる苦労に終わることはなく、いま苦労する喜びも感じられるのです。各人が目的感をもって仕事に励むとき、目の前の仕事は苦労ではなく、むしろ、その中に喜びと目的を見つけて、よりよい仕事をしようと工夫もし、活き活きと動きたくなるのではないでしょうか。それをやりがい、生きがいと呼ぶのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
仕事、日常生活の中で、改めて目的と手段を明確にして進んでいきたいものです。