逆境のなかで可能性を見出すには?

2020年から始まったコロナ感染の拡大。世界が混乱に陥ったこの数年間。世界的な企業に限らず私たちの身近なお店や会社も厳しい状況のなか奮闘している方々は少なくないと思います。追い打ちをかけるようなロシアによるウクライナ侵略によって、物価高・原油高、食糧危機、円安…悪戦苦闘をつづけるなかではありますが、希望の明かりが消えかかる時が訪れても不思議ではありません。
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希望を胸に抱く限り敗北はない
しかし、苦しいと思えば思うほどますます現実は、暗く辛いものになるものです。苦しくとも希望を失わず自身の持つ可能性を信じる。それが活路を見出すことに繋がります。
つまり、希望を胸に抱いている限りにおいて敗北はありません。現状を冷静に見つめ、正しく認識し、すべての可能性は自分自身にあるという真実を発見したならば、必ず希望の光が見えてきます。
可能性は必ずある
以前、勝ち組・負け組という言葉が流行りましたが、そもそも自身あるいは自社を負け組と決めつけてはいないでしょうか。「こんな小さな規模の会社だ」、「このような地域では」等々と勝てない状況を言えばきりがないことでしょう。また、企業としては売上も利益も苦しい状況なのかもしれません。しかし、それは一面的なことです。何よりも申し上げたいことは、自分・自社の長所は何なのか?を気づかないだけで、必ずあるという事実です。
たとえば〝人財〟。経営者やリーダーは、それぞれのスタッフが持つ可能性を信じ、組織力を活かすことこそが、本来の仕事です。スタッフのなかには、思い通りに伸びない人もいるかもしれません。また、少し前の映画『釣りバカ日誌』の主人公・浜ちゃん。彼は趣味にのめり込んで業績の上がらない、いわゆるダメダメな社員を面白おかしく表現しています。けれども、そういうスタッフでもユーモアやユニークな発想など、必ず組織の潤滑油や活力になる良い面を持っているものです。そういう個々人の一見マイナスに見える個性を活かすことができたならば、スタッフの可能性を十二分に発揮させることができると思います。
確かに、浜ちゃんのような人物の貢献度を数値化するのは困難で、いわゆる成果主義では高評価とはいかないでしょう。そもそも「人財」とは、多面的、多角的でなければ適正な評価はできないものです。わかりやすく言えば、減点方式でなく加点方式で人を見るということです。
オリンピックの体操競技の採点法は、2008年北京オリンピックを境に減点方式から加点方式に変更されました。卓越した体操演技を的確に評価するには、加点方式の方が適しているからです。人間の可能性を活かす組織とは、いわゆる加点方式でスタッフの個性や能力を見ることです。そうした組織からは自然と積極的行動と挑戦の息吹が生まれてきます。
『企業は人なり』との言葉がありますが、つまり、スタッフ一人ひとりが活き活きとしたならば、様々な可能性が広がっていくことでしょう。そうしたいくつもの可能性の発見が、逆境のなかで希望を見出すことに繋がるのではないでしょうか。
苦しい時には楽観主義で
先が見えない不安、そこから抜け出せない焦り。売上が低迷し、資金繰りが思うように行かない……など、最近の経営に関する数値を見つめれば見つめるほど、現実は厳しい。「いまこそチャンス」と跳ね返す材料を探そうとしても、なかなか見つからず、気持ちは空回り。「厳しいときこそ、やらなければ」と奮起するには、どうしたらいいのでしょう?
苦しくとも明るく元気に
暗く落ち込んだり、悲観したところで事態が好転することはありません。辛く苦しい時にこそ楽観主義です。ここでいう楽観とは、哲学の裏づけをはっきりと持った主体的な楽観主義です。
厳しい状況がつづいたとしても、あきらめたり絶望してはいけません。それは、自分の可能性を放棄した状態であり、本来の自分を見失った状態といえます。
よく言われることですが、「過去と他人は変えられませんが、未来と自分は変えることができる」のです。つまり、未来を良くする因=可能性はすべて自分にあるのです。だからこそ、自分次第で厳しい現実をも好転することできると、自分の可能性を信じる考え方です。それが主体的な楽観主義です。
そうした考え方を実践する糸口は、明るく、元気に、爽やかに振る舞うことです。確かに、経営者やリーダーは重責を背負い、不安のなかにあって孤独なものです。言うに言えない苦しみや悩みを吐露したくなる場面もあるでしょう。けれども、苦しい現実に飲み込まれたのでは、益々苦しくなっていってしまいます。
そうではなく、自身の可能性を信じて、勢いをつけエネルギッシュに行動していくのです。
逆境のときこそ 「希望!」と叫ぼう
積極的かつ意欲的に行動する内面のエネルギーを環境に求めたり、他のものに求めたりすることもあるかと思いますが、基本的には、自分のやる気や意欲は自分持ちです。本来持っている内面のエネルギーを自ら奮起して意識的に出すよりほかありません。
世界の文豪は、次のような檄を飛ばしています。
「逆境にあって、まさにかく叫ばねばならぬ。希望! 希望! また希望!」
— ヴィクトル・ユゴー
「希望は底の深い海の上でなければ、決してその翼をひろげない」
— ラルフ・エマーソン(アメリカの作家)
希望に向かって前進する意思の力、これが私たちの目指す楽観主義です。ともあれ、現実は苦しくとも未来は必ずよくなると、自身が本来持っている可能性を信じて、苦しみに負けない戦いを共にしてまいりましょう。最後に、弊社出版書籍の一文を参考にお伝えします。
『現実を動かす希望の力』
現実の世界は目まぐるしいほどに動いています、一瞬たりともとどまることもなく。その中で、あらゆる人々がさまざまな希望を持って行動をしているでしょう。人は皆、現実を変革したいという希望を持って行動をするものです。たとえば、山の頂上に登りたい。だから裾野で第一歩を踏み出します。まだ見ぬ新しい光景を見たい。だからこそ壁を越えるのです。一人ひとりの希望が積み重なり、各々(おのおの)が希望を叶えたいと願うから、そういう行動の一つひとつが世界中で実際に行われているから、世界は動いているのです。つまり、私たちの一人ひとりが希望を失わないかぎり、一人ひとりがこの世を動かし続けているのです。
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