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クレーム対応のコツ/クレームを活かす考え方と実践法

クレーム対応のコツ/クレームを活かす考え方と実践法

どんなに誠意を込めてサービスをしていても、結果として、お客様との行き違いから、お客様が会社に対して苦情を申し入れるクレームが起きてしまうこともあります。そんなとき、いつも心がけておかなければならないことを、改めて確認をしてみたいと思います。

クレームとは

 クレームとは、一般的にはお客様から苦情や不行き届きの指摘をされることと認識されています。そこには負の感情が込められているとの印象が有ります。本来の意味合いやメリット・デメリットについて見て参ります。

クレームの本来の意味

クレームとは、サービスや商品に対する、苦情や改善要求などを指す言葉に思われますが、正確には、苦情等を表すものではなく、賠償や保証を要求する一段深い意味合いのことを指します。「苦情」については本来「コンプレイン」という英単語がそれにあたります。しかし、日本では、大きく苦情等も「クレーム」という言葉で表現されます。このページでは、そのことを踏まえて、苦情や不行き届きに対する改善要求も含めた内容についてクレームと表現して、解説していきたいと思いますので何卒ご承知おきください。

クレームのメリットとデメリット

クレームにメリットは有るの?と思うかもしれませんが、よく言われることとして商品やサービスの改善や開発に活かすことや、会社のウィークポイントや課題解決のきっかけになるなどが挙げられます。

クレームのデメリットは、クレームを発したお客様を失うということが最も大きな影響です。不信を買ってしまうということです。しかし、実際には、そのことによって担当スタッフが落ち込んだり、社内の雰囲気が悪化したり、他のお客様からの信頼が揺らいだりといった様々なマイナスを生み出してしまいます。そのため、最近ではクレームのアウトソーシングをする会社まで現れてきました。

また、インターネットが充実している現代においては、クレームが瞬時に拡散されてしまいます。そのことは、将来の新たなお客様を失っているという事実にもつながりかねません。ネット上での対策が大きくなっているのも事実です。

聞こえてこないクレームこそがマイナス

クレームという言葉からは、多くはマイナス要因を連想しがちですが、先に話したようにプラスに転じるクレームもあることを知ってほしいと思います。自分たちが気づかない問題を、お客様が教えてくれるのはクレームのプラス効果です。逆に「もう御社は使わない」というクレームの言葉よりも、例えば何も言わないけれども、もう使用しないことを決めてしまうなどこそマイナスです。いわゆるサイレントクレームです。直接は当事者に言わないけれどSNSなどで拡散させるのもこれに属する面が有ります。つまり、文句や苦情でも教えていただけるのはプラスであり、不満をもったまま「あの会社はやめたほうがいい」と周りに広められることはマイナスなのです。「声なき声をいかに聞き出すか」が重要だと考えます。これまでのようにコールセンターやお客様窓口は勿論ですが、自社のネット書き込みをチェックできる体制を整えることも必要なことです。

クレームへの対応策はあるのか?

ではどのような対応策が考えられるでしょうか?気を付けたいポイントを一緒に確認して参りましょう。

クレームの対応は「感情的になったら負け」

ある営業マンは、体験の中から、このように話しておりました。「クレームが起きてしまった際、何はともあれ、現場に直行し、言い訳をせず、お客様に誠心誠意対処すること。事情を説明しようとすればするほど、お客様は反発してしまうものです。ですから、私は一切、言い訳はしません」と。

私どもアンリミ的には、クレームをどう考え、どう対処すべきかについて、次のように考えています。

(1)クレーム対策とは?

相手(お客様)の困っていることに対して

①    【迅速に】―スピーディーに

②    【誠実に】―真心こめて、言い訳せずに

③    【一緒に】―共に、私が......クレーム解決に当たることをいう。

(2)クレームはチャンス

それが不満、怒りのクレームであっても、対応の仕方いかんで、結果的には、お客様から従来以上の信頼を勝ち得た例は、少なからず耳にすることです。

そのためには、

①    対策、対処、行動の経過をまめに報告する。失った信頼の挽回につながらせるのです。

②    お客様の期待を遙かに上回る対応をしていく。

誠意をもって具体的に応えるべきことは全て実践することが基本姿勢となります。

以前、私が現場支援で入っていた会社でこんな事がありました。あるレストランウエディング会場の宴会の途中、アクシデントにより、停電になってしまいました。突然真っ暗になった会場では怒りの声が響き、騒然となりました。スタッフもオーナーも必死にお詫びしてお許しを願って対応しました。さらに、後日、お客様のご自宅に訪問しました。一軒も残さず、詫び状にビール券をそえて、言い訳もなくお詫びと今後の御安心頂ける対策をお伝えし、結果的には、「そこまでやってくれるのですか!」との驚きと、感動をもって信頼の拡大につながった例も報告されています。

クレーム対応は担当部署だけでは不十分

クレーム対応に関しては、社長をはじめトップリーダー自らが、日常的に業務に関して問題意識をもつ必要があります。担当部署があるからというだけでは、当然不十分です。「自分たちは十分努力している」という姿勢では、もし何もなければクレームを発掘しようとはしないはずです。つねに「今の仕事の満足」を積極的に否定し、より良いものを提供していこうとする考え方や発想が大事なのです。その姿勢のない経営者はクレームを聞こうとしないし、問題意識すら持てずにいると言えるでしょう。

スタッフのクレームにも耳を傾ける

もう一つ大事なことはクレームはお客様だけでなく、スタッフや取引先にもあるということです。お客様の前にいるのはスタッフです。その彼らが会社や取り扱っている商品、サービスにクレームをもっていたらよい仕事はできません。最大の顧客満足をめざすなら、その前にスタッフのクレームに対応すべきです。

まず、トップや上司は日々、スタッフのことを考える時間をつくるべきなのです。普通、会社の上司がスタッフに聞くことは、売上計画や達成率、行動計画やその日の予定などが多いと思います。それだけではなく仲間の状態やチームでの苦労、場合によっては私的な悩み事を聞く時間をつくることが大切です。会社・仕事に対する気持ち、商品・サービスへの気づきをスタッフや取引先からも聞く。社内のかくれたクレームを聞き出して対応することも大事な要素です。仕事を管理するのは当然として、働いているのは人間であることを忘れずにいてほしいものです。

 

まとめ

クレームは無いに越したことは有りません。しかし、どんな商品、どのようなサービスであってもクレームにつながる不満足を与えてしまうことは0にはできないものです。そのことを承知した上で、善くて奢らず、悪くて腐らずとの気持ちで、日々目を光らせ、耳を傾けて、より質の高い満足の提供を目指していきたいと思います。

まとめとして、弊社書籍の一節を引用させていただきます。

『スタッフのほうが落ち度が大きいトラブル・クレームに対し・・・』

自らを見つめて、自らの振る舞いをさかのぼって、事の本質・問題をきちんとする。“あの人(スタッフ)も確かに悪いけれど、私(自分)も決して正しくはなかった”この角度の発見をしないとダメ。つまり、相手(スタッフ)が「悪い」「悪い」「悪い」と言うことは、自分は正しいと言うことである。そういう視点に立っている間は、問題の解決は出来ません。現象として、あなたからは、相手(スタッフ)の〝問題点〟が見えるかも知れないけれども、本質的にはあなたの問題なのです。

ポイントは二つある。一つは「あの人も悪いかも知れないけれど、私も決して正しくなかった」という角度を発見する事と、もう一つは「ああいう行動をとってまで、私を自覚させようとする、捨て身のSOSのサインだった」という事実を見抜くことである。どうしても他人に責任を転嫁しようとする自らの心を、自らの生命と仕事の充実のために、自己責任として転換できるか否かにかかっているのです。

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