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経営者が混迷の世の中で活路を見出すには

経営者が混迷の世の中で活路を見出すには

どういう一手を打てば、活路を見出せるのか。世の中はコロナ禍にあって、DX(デジタルトランスフォーメーション)、市場の変化、更に、物価高騰、為替変動、災害、紛争など様々な出来事が起こっています。

こうした現実の世の中をよくよく心得ながら、的を射た一手を打っていきたい。世間や身の回りで起こる様々な出来事から、何をどう見て、どう考え、経営現場に活かす一手を打つことができるのか。そのために先ず大事な視点は、世間で起こっている事象・出来事を鏡にして自分自身を見ることです。

世間の出来事を鏡にする

つまりそれは、世間や身の回りの出来事を単にニュースとして見るだけでなく、そこから、自社の課題や欠点を見つけ、改善・創意工夫をすることです。

たとえば、産地偽装やデータ改ざん事件などを見て、わが社でも同じようなことをしていないか、またはわが社ではどう対応するだろうかと自社を見る。さらには、事の本質は社会がより安全を志向するようになっているとみて取り、そして、社会の価値観の変化に合わせて自社の改善工夫をすることです。

円安、スマートフォン、タブレットPC、自然災害、企業コンプライアンス、芸能関係から政治にいたるまで、あるいは社会現象から身近な家庭問題まで、様々な事象・出来事から、時代の価値観を的確につかんで、自社に活かしていくかが大切です。

問題意識の強さと正しさ

以上のことを一言集約して言えば、それは問題意識です。問題意識の違いが行動の違いにすべて出てきてしまう。

たとえば、飲食店にて玄関での受け入れ強化を考える。けれども、雨の日も風の強い日も、暑い日も寒い日も同じ対応になっていたならば、それは、そういう問題意識の表れなのです。強い問題意識がなければ、何を見ても聞いても生きた情報とはならない。

問題意識で大事なことは、その「強さ」と「正しさ」です。強さと正しさによって、同じものを見ても、見えるもの、取り入れるものが違ってくる。あるクリニックでは、人材確保が難しい状況に対し、応募のあった若手の女性看護師を採用しました。経歴を見て有名病院での職務経歴が書かれたのを見ただけで院長と事務方の長を担う院長婦人は、他のスタッフの意見も聞かず採用を決めてしまいました。そのクリニックはパートでしたが看護師の方々の評判が良く、満足度も高いクリニックでした。しかし、その一人の採用が大きく事態を変えてしまいます。新しく常勤で採用された若手看護師は、非常勤の他の看護師を下に見るような言動に加え、他のスタッフとの揉め事も度々起きていました。人材不足の状況から、手が出るほど人が欲しかった経営陣は、その一人に対し指導も出来ずにいました。やがて他のスタッフも次々に辞めていき、益々そのクリニックは手が回らない状況に陥った事例を見たことが有ります。なぜ人材が不足しているのか?人が辞めていく原因に深く踏み込めない、自覚できていない経営陣に有ります。問題は、どちらがお客様は満足するのかという問題意識です。人手が埋まるという問題意識、経歴のあるスタッフが居るから大丈夫という問題意識、スタッフやお客様が喜ぶという問題意識、そうした問題意識の違いによって何をするかが変わってくるのです。問題意識の強さと正しさの違いが結果に表れているのです。

弊社アンリミテッドのテキストでは「お客様に満足を!寝ても覚めても考え、創意工夫をつづけなさい」と問題意識の強さと正しさを分かりやすく表現していました。そうした問題意識で身の回りや世の中の事象・出来事を見れば、「次に何をすればいいか」ではなく、「次々とやることがありすぎて困る」のではないでしょうか。

大事なことは、改善・創意工夫を一つひとつ積み上げていくことです、時代の流れに合わせ、お客様の変化に合わせ。当然、やれば失敗はつきものです。成功することよりも失敗することの方が多いのが現実とも言えます。けれども、「一人のお客様のために」と常にお客様が喜ぶことを考え悩み、改善と創意工夫を繰り返す。その積み重ねのなかで知恵は磨かれ、やがて知恵はかたちになる。

世の中の出来事や変化を見て、自社に当てはめる。「わが社ではどうなのか」、あるいは「わが社でどう活かせるのか」と。そうした問題意識で、悪い事はやめ、よい事を増やす。成功も失敗もあわせて色々とやっていくなかに活路が見出されるのではないでしょうか。

 

今、何をすべきか

 私たちは、ともすると、自分たちのいる業界や自分たちのいる地域といった部分的なところにとらわれてしまうものです。しかし大事なことは、広く世間を見て、今、世の中がどうなっているのかを読み取ることではないでしょうか。川にたとえるならば、源流から河口まで、どこが深くなり、どこが浅くなっているのかと。

世の中の流れに対し

昨今の世の中を見ると、インターネットが広がり、様々な業界でネット販売が取り入れられている。これも流れの深くなっているところの一つではないでしょうか。写真業界では、学芸会などのイベントの様子をプロのカメラマンが撮影し、そのプロならではのワンカットをイベント参加者がネットを通じて個別に購入するため、購買枚数が増えるという。写真屋さんの業界低迷が著しいなか、まさに時代の流れをつかんだものではないか。

つまり、世の中の動きを見て、どうしたら自社の業務に活かすことができるのか、何が活かせるのか、もしくは、世の中の流れに対し、自社はこのままでいいのかと真剣に考えることが求められているように思う。

たとえばブライダル業界では、近年まで、ハウスウエディングという大きな流れがあった。それは結婚式に特化し、高利益を望めるものでした。その一方で、今の日本は、少子化、結婚式離れ、都市部集中、等々と、もはやひところのような状況(市場)ではない。いわば、昔は深かった川底がどんどん浅くなっている。深かった頃の事業展望のままでは、経営が厳しくなるのも無理のないことではないでしょうか。

こうした状況はブライダル業界に限らない。昔は深かったはずが浅くなり、以前は浅かったが今は深くなっていたりと、世間は変化しつづけています。

正しい現状認識からスタートする

私たちは、とかく興味のないものには情報を遮断しがちです。しかし、大切なことは、広く世間の出来事や社会の流れに注意を向け、そこから自社を見つめ直すことです。世間で何が流行り、どういったものが価値あるものとされ、どういうところに人々の意識が向いているのかと。

インスタグラムやツイッター、フェイスブックなどのソーシャル・ネットワーク・サービスが話題になれば、それについて調べ、考察し、業務に活かせる道はないかと真剣に考える、また、高齢化社会と見て取れば、そうした社会で役に立つことや活かせることはないかと本気で模索してみる。

つまり、世間からみた自社の長所、短所、欠点、課題、等々を認識することです。その上で、何をもって自分たちの良さを世間に提供するのか、それを明確にすることが求められているように思います。

使い捨てが当たり前になった社会のなかで、経営を建て直した靴修理の専門店がある。そこでは、先ず自社を見つめ直し、スタッフの修理技術をより高めることからはじめました。そして、次々と創意と工夫をしていったわけです。修理技術だけでなく接客力も高める教育を取り入れたり、物流会社と提携することでお客様の自宅から直接集荷できるシステムをつくり、ネットでの修理注文を可能にしたりなどと。そうして、年々下降していた業績をV字回復させたわけです。

さりとて、危ぶまれるのは、成功事例のノウハウのみを真似ることです。大きな流れが必ずしもすべての地域に当てはまるとは限りません。都市部と地方とでは違いますし、変化の時間差もあります。また、地域によって様々な特色もあります。

だからこそ、具体的に何をどうするという以前に、それぞれが、本気で真剣に、世の中の流れのなかで自分たちはどこにいるのか、また、外から見た自分たちがどうなっているのかと自身を見つめることからスタートすることが大切だと思うのです。そして、そこから、智慧を生み出していく。はっきりとは分からないまでも、そういう意識で社会を見れば、やれることがまだまだ数多くあるのではないでしょうか。

流れの速い水面もあれば、目に見えない川底の流れもある。流されるのでもなく、逆らうのでもない、流れを感じ取るのです。

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