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飲食店集客改善の取り組みー成功のための具体的実践法

飲食店集客改善の取り組みー成功のための具体的実践法

今回の事例は、フレンチレストランを開店したオーナーシェフK氏と一緒に行った改善事例です。そのお店は、地方の中規模都市の住宅街の中にあり、開店より一年が経ち、売上の少なさから、店を閉めるかどうか悩むような状況にありました。フードコンサルの依頼があり、シェフご自身への弊社アンリミテッドのカウンセリングを通してオーナーにも変化が現れてきました。空席だらけのつぶれかけたレストランに行列が!なぜ、これほどまでにお客様を集めることができたのでしょうか?

集客に悩むあるレストランとの出会い

 「今回アンリミさんからの指導でうまくいかなかったら店を閉めるしかありません・・・」このお店とのカウンセリングはこのようなオーナーシェフからの一言で始まりました。「がけっぷち店の売上を上げるためには、休日をなくし営業時間を長くして、ただひたすら身を粉にして働くことしかない」「このままではいけない。お客様が入らないのは店が知られていないからだと思い、折込チラシやフリーペーパーに広告を出しました。SNSは自分で空き時間にコツコツと・・・割引券もつけて・・・。万全の態勢を整え、でもお客様は来ない」。何をしたらいいのか?何がいけないのか?迷宮に入り込み、出口のない道を力なくさまよっている状態でした。

「自分はだめだ」という言葉が出てくるオーナーシェフの状態はかなり危険な状態です。頑張れば何とかなる!もっと頑張れ!といった激励は逆効果になります。生きているだけで精いっぱいなのですから。フレンチから地域でニーズのあるイタリアンへの業態変化などひと通りの再建プランは立てたものの、プランを推し進めていく本人がこのような状態では、いくら方法論を打ったところで全く作動しません。「自分が変われば環境も変わる」という“本質”を本当に信じられないと再建はスタートできないのです。 

信じて、行動して、気づき、感謝ができる。目には見えないけれど、気持ちや心にも流れがある。プラスの流れ、潮流にのせることが先決だと感じました。そうすれば、何をやってもうまくいく、方法論が作動するのです。

具体的な改善策の実行

弊社経営カウンセリングを通し、オーナーシェフの内面に変化を感じ、具体的な実践計画の実行へと入っていきました。パスタ屋さんとしてのリニューアルに向け、まず集客のための期間限定企画パスタを一品つくることにし、お得感と豪華さと珍しさを狙える商品、「伊勢海老を丸ごと一匹乗せたパスタ」を千円以下で提供することにしました。そして、集客を図るもう一つの手が、「三人以上の来客は、お一人無料」。もちろん期間限定ですが、お客様に喜んでいただくには、大胆な手を打つことが肝要です。この段階では採算は二の次で、先ずはご利用いただくこと、話題性の提供が第一でした。

それも、たんに無料にするのではなく、スタッフとのじゃんけんに勝てば無料としました。アナログな取り組みに感じますが、楽しい雰囲気が大事なのです。そこには、スタッフもお客様も一緒に楽しむ要素があります。意外にこれが分かりやすいことから評判になりました。こうした、お客様をひきつける雰囲気を作るには、オーナーシェフの意識の変化が最も必要不可欠なことでした。トップが暗く力ない状態ではお店はけっして明るくはなりません。

【ポイント】

・豪華かつお得感のある企画商品(まるごと一匹、伊勢海老パスタを千円以下で提供)

・よい口コミを増やす(三人以上のお客様には、お一人分無料)お客様もスタッフも一緒に楽しめる要素を作る楽しい雰囲気(雰囲気を作り出すのは、施設ではなく人)

 

オーナーシェフが変われば、スタッフは変わる

シェフへのカウンセリングを通じ考え方が変化し始めました、「○○のお陰」とお客様やスタッフのことを考えるようになってきたのです。シェフの変化とともにお店の雰囲気も変わってきました。ある日、サービススタッフのパートさんから、「仕事を辞めたい」と言われ、オーナシェフは、落ち込んでいました。「辞める理由は聞いたのですか?」、「聞いてません」。「すぐに辞める理由を聞いてください」と宿題を出しました。オーナーシェフはスタッフが辞めることだけにとらわれ、事情も一切知らずに落ち込んでいたのです。おそらく、辞めたいと聞いただけでうろたえ、その場で事情を聞く勇気を失っていたのでしょう。理由を聞けば、自分への不満が出てくるかもしれないからです。辞める理由を聞くことは、勇気が要ることだったと思います。

その後、そのスタッフが辞めたいと言った理由が分かりました。理由は、ご主人が仕事に反対したからというものでした。帰りが遅くなり、夕食の準備などができていない日が多くなり責められていたからです。さらに話を聞くと、そのパートさん自身は仕事を辞めたくないとのことでした。辞めたい理由を聞いたオーナーシェフから報告がありました。「そういうことならば、夕食の準備のためにいったん家に帰らせてください。忙しい日ならば、厨房を貸してあげて、作った料理を夕食に持っていかせてください」そうアドバイスを送りました。すると、

「忙しい時間帯ですよ。店が回らなくなります」

「大丈夫。オーナーシェフが彼女の分まで動けばいいのです」

「そんな。無理です」

「いや、できます。このくらいのことができなければ、オーナーシェフは今後もやっていけませんよ。必死にやってください」

「……………」

とりあえずは、やってみることになりました。

ここで大事だったことは、スタッフを仕事の役割分担の一人として見るのではなく、本質的には、一人の人間として見ることでした。職場ではパートであっても、家庭では主婦でありお母さんであり、妻なのです。また他の場では、さらに違う顔を持っているものです。そうしたことを実感してもらい、スタッフを一人の人間として大事にすることを感じてほしかったのです。大事にされたと感じたスタッフは、お客様を大事にします。「今まで接客のアルバイトをいくつかしてきましたが、こんな親切な待遇をされたのは初めてです」と言い、そのパートさんは活き活きと率先して働いてくれるようになりました。そのほかにもタイムカードを切った後に皿洗いをするなど、喜んで働くスタッフが徐々に増えていったのです。スタッフとの信頼関係の大切さを学ぶことになりました。

【ポイント】

・スタッフを本気で大事にする大事にされたと感じたスタッフは、自ら進んでお客様を大事にする

・スタッフを本気で大事にするには、トップの考え方の変化と行動の変化が必要

 

行列ができるパスタ屋さんに

リニューアルオープンを果たし、狙い通り行列ができました。狙いとは、回転率を下げることです。ただ、回転率を下げただけでは行列はできませんし、経営的にも厳しいものがあります。ポイントは居心地のよさと、ちょっと高くてもまた来たいと思わせるお得感です。料理内容を充実させるだけでなく、席に着いたら、紅茶とフレーバー水をサービス。紅茶は頃あいを見て、ポットで注いで回ります。

テーブルには、おつまみ自由、持ち帰りOKの自家製ピクルスとオリーブとチーズをセット。食事後にはお茶をしながら、ゆっくりと会話を楽しんでいただけるようにしました。

そして、廉価(れんか)な手作りスイーツサイドメニューに添える。こうして毎日のように行列をつくるパスタ屋さんの誕生となったのです。

【ポイント】

・回転率を下げる

・着席時に、紅茶とフレーバー水をサービス。紅茶は随時、ポットでお替わりをサービス

・持ち帰り自由のおつまみをテーブルにセット(自家製ピクルス、オリーブ、チーズ)

・手作りフレンチスイーツを、二百円~三百円と廉価で提供

 

行きたくなる店2.png

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広告の手法

新聞折り込み準備のときの話です。商圏は三十万人、一度に全域の新聞折り込みをすればかなりの経費がかさみます。そこで十個のエリアに分けて、新聞折り込みをすることにしました。飲食業の広告に対する反応は早く、こうすることで、反応がよい地域と悪い地域とが必ず出てきます。そこで反応がよい地域に重点的に広告を打つ方法を取ることができるようにもなります。新聞折り込みを頼む新聞屋さんとの打ち合わせでのこと。年配の社長さんから地域の話や料理への要望などを聞き、どこか心打ち解ける感がありました。お店を出す意義や目的などを語ると、大いに共感していただき、打ち合わせの最後には、初回の折り込みは無料にしてくれるとの応援をいただくこととなったのです。

【ポイント】

・商圏をいくつかに分割して、新聞折り込みを出す

・集客が多い地域と少ない地域を知る

・広告に限らず、取引先とは目的・思いを共有する

 

消費者心理を揺さぶるディナー

ランチに対してディナータイムは、近所の家族連れをターゲットにメニューを設定。四名二千円が基本のお得セット。内容は、大皿パスタを二皿とサラダ、スープ、ワンドリンク。そしてディナータイム用に黒板メニューを作りました。黒板メニューは、お酒を飲みたくなる特徴の強いメニューをラインアップ、そして、ちょっと高めで非常に美味しいものを用意。結果的に平均客単価は、ディナーとしてはまずまずの単価となりました。

一般的な黒板メニューは、人気上位を定番にし、人気下位商品を変更していくものです。しかし、この店ではどんどん黒板メニューを増やしていく。一度食べたあの料理をまた食べたいと思って来店するお客様をがっかりさせるわけにはいきません。今では、百種にまでメニューが増えました。通常メニューは増やさないのが鉄則ではありますが、このお店に関しては一人ひとりの要望に応えることを当初の目標としてこのような施策を行ったのです。

【ポイント】

・近所の家族連れをターゲットお得なセットメニュー(四名分二千円)

・お酒を飲みたくなる黒板メニュー(値段は高めにし、非常に美味しい特徴の強い商品をラインアップ)

・黒板メニューは、どんどん増やしていく

 

トップの状態が未来を明るくする

レストランは順調な滑り出しをしました。しかし、シェフの悩みはつきません。どこか今ひとつ、心から晴ればれとした心境になっていないのです。その原因は、家庭にありました。事情を聞くと、家族から全く信頼されていない状況でした。「家族を責めたり、家庭から逃げても、よい方向にはいきませんよ。家族が大事にしているものをシェフが大事にすることですよ。みなさんに聞いてみたらどうでしょうか?そんなこと・・・と思うかもしれませんが、家族にとっては大事なことなのですよ」と。その後、家族が今大事にしているのは子供だと考え、子供と毎週必ず遊ぶようにし、さらに、ペットで飼っていた犬の世話が大変だということが分かり、シェフ自らが犬の世話を買って出たのです。相手が大事にしているものを大事にし、苦しんでいることを手助けすること。そういう気持ちに自分が変化すると、周りも変わるのです。家族内の問題解決はスタート地点に立ったばかりですが、オーナーシェフは積極的で覇気のあるシェフになりました。

オーナーシェフからは、毎日メールにて日の売上などの報告をしてもらうようにしています。売上が落ちると、電話をします。すると必ずといっていいほど問題が起き、悩み、落ち込んでいるのです。オーナーシェフの心の状態が、即数字に出る。それが飲食業であるとつくづく思います。

【ポイント】

・トップの心の状態が、結果に人間関係の問題解決の糸口は表れる

・相手が大事にしていることを大事にすること

以上、今回は飲食店集客改善の具体的な取り組みについてお届けしました。

弊社アンリミテッドクリエーションでは、現役シェフも在籍しており、サービス業・ご提供商品(料飲メニュー)の改善、新規事業の創出・立ち上げ、仕入れの見直し等を現場に入って実行するオペレーション事業をご提供しております。ご興味が有る方は、お問い合わせボタンなどからご依頼ください。

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